年収2000万円!謎めいた「キーエンス」の実態

「40代で墓が建つ」ほど理不尽な激務なのか

とはいえ、これだけで利益率50%超は達成できない。脅威の利益率にはいくつかの要因がある。自前の工場を持たないファブレス経営を徹底していること。製品の研究開発と営業に集中して、実際の生産は他社に委託しており、低原価、低コストを実現している。

製品の研究開発力が競争力の源泉との見方も強い。同社の新製品は7割以上が「世界初」か「業界初」。木村氏は「外部の人から営業力が強さだと指摘されるが、研究開発力が何よりの強み」と話す。

営業は結果ではなくプロセス重視

ただ外部の声として圧倒的に多いのは、「営業ノウハウがすごい」(国内証券アナリスト)という指摘だ。キーエンスに約20年在籍し、現在も機械業界で活躍するOBのA氏は、「キーエンスの本当の強みは製品開発とその製品を売るときの戦術にある」と明かす。

「『世界最速』など製品のコンセプトがしっかりしているので、製品を説明しやすい。営業マン個人のメリットも、相手先の導入メリットも開発に組み込まれているので、販売戦略を立てやすい」(A氏)。新製品の営業のしやすさと商品としての魅力が、営業力の強さにつながる。

営業においても絶えず合理性が問われるという。A氏によれば、重要となるのが「施策」という営業計画だ。「施策」では売上目標を達成するための細かなストーリー作りが求められる。たとえば製品パンフレットを何冊発注し、誰に対しどのように配布するのかなどを事細かに決めるのだ。

「しっかりと市場の先を読み、正しい戦略・戦術を組み立てられるかが問われる」(A氏)。キーエンスではこの「施策」を入社して間もないころから実践し、営業を学んでいくという。「棚からぼた餅式でたまたま営業成績がよくなっても、計画が甘すぎると評価されない。なぜ結果がよくなったか説明を求められる」(A氏)。結果よりもプロセスをしっかり踏めているかが重視されるという。

そのため「若い人のなかには途方もない空振りをしていると思う人がいるかもしれない」とA氏は言う。実際、「営業成績ではなく、チラシの配布枚数や営業先の件数の達成度など細かなものばかり指摘されて意味がわからず辛かった」と明かす元社員もいる。

ただし「施策」を重視するのは、営業も戦略を組み、先読みする力を身につけるため。キーエンスで長年海外事業に携わったOBのB氏は、「いかに合理的な営業を常に行えるかを普遍化したような会社」と振り返る。

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