保険のSOMPOが「テーマパーク」を目指す理由

次期経済同友会トップが語る保険業界の未来

ただ、問題もある。「国籍は?」「離婚歴は?」「クレジットカードの有無は?」などとデータ解析で細分化していくと、保険料が高騰する人と逆に相当に低い人が出てくる。大数の法則を働かせて、保険料を平準化する保険の機能が壊れてくる。

リスクの高い人が保険に入らず、そうでない人が保険に入ることになる。社会のありようとしてはそれでよいのか。技術進歩に合わせて、都合がよいから、便利だからと保険商品・サービスを提供していくと、サステイナブルな社会を破壊していくことになる。これは絶対にいけない。

保険は原状復帰はできるがプラスにはできない

――その中で、SOMPOホールディングスはどう変わっていくのでしょう。

テーマパークのようにしたい。私どもは「安心・安全・健康のテーマパークを目指す」とずっと話してきた。保険は大事な機能ではあるが、われわれの目指すビジネスモデルは保険ではなく、テーマパークだ。

社員の間では耳にタコの話なのだが、少し説明しよう。

テーマパークとは抽象的な概念を目に見える形に変換するものだ。触れられるとか、味わえるとかね。

櫻田 謙悟(さくらだ けんご)/1956年生まれ。78年旧安田火災海上入社。2012年からNKSJホールディングス(現SOMPOホールディングス)社長。2019年4月に経済同友会代表幹事就任へ(撮影:梅谷 秀司)

ウォルト・ディズニーの世界観を形にしたのがディズニーランドだが、僕らの世代は日光江戸村のほうがピンとくる。「江戸時代」って言われても現実感がないけど、江戸村へ行って、見たり、触ったりすると感じが違ってくるよね。

保険の場合は、原状復帰までの機能を持っているが、マイナスやゼロをプラスにまで変える機能はない。「今が健康だったら、幸せだったら、それを維持したい」。そのときに機能は果たせるが、さらにハッピーになりたい場合、われわれがやれることはゼロだろう。プラスにはできないんだ。

でもテーマパークは違う。ディズニーランドや日光江戸村に行ったら、悲しかった気持ちが普通に戻る、楽しくなるでしょ。テーマパークにはマイナスをプラスに変える機能がある。

「あなたは困ったとき、まさかのとき、どうするのですか!」「大事な家族はどうなりますか!」というのが保険会社のセールスだ。ホラーストーリーとまでは言いたくない。われわれにとっては、ビジネス上、とても大事な部分ではあるのだが、もうこれだけじゃダメだろうとも思う。

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