田中圭やDA PUMPが2018年ブレークした理由 ビジネスチャンスは「真ん中」にあった

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安室さんとDA PUMPはともにデビューが1990年代であり、アーティストの中では“中堅”に該当。やはり一般の人々は、“新星”や“ベテラン”ではなく、真ん中の“中堅”を支持しました。

アイドルシーンを見ても、“新星”でも“ベテラン”でもなく、結成7年で“中堅”的なポジションの乃木坂46が「ほぼ独り勝ち」の状態。「年間BOOKランキング」の写真集部門で、グループ写真集の「乃木撮VOL.01」が30万部を突破して1位となったほか、トップ10中6作がメンバーの写真集でした。

前述した「年間アーティスト別セールス部門」でも安室さんに次ぐ全体の2位で、総売り上げは100億円を突破。“新星”アイドルには影も踏ませず、“ベテラン”的なポジションの3位・AKB48(結成13年)、4位・嵐(結成20年)に上回るなど、ここでも“中堅”の強さが際立っています。

シリーズ作と80年代カルチャーがヒット

コンテンツに目を向けると、映画の興行収入では、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』『名探偵コナン ゼロの執行人』が他作品を大きく引き離してのワンツー。洋画でも『ジュラシック・ワールド 炎の王国』『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』がトップの座を争ったように、多くの新作が上映される中、シリーズ作の強さが際立っていたのです。

これらの各作品を“中堅”と“ベテラン”に分ける基準は難しいものの、少なくとも“新星”でないことは間違いありません。そこに「今年、人々がどんなものを選んでお金を払っていたのか」という購入傾向が表れています。

次に、テレビドラマでヒットの基準にしたいのは、リアルタイム視聴を基にした視聴率という時代錯誤な数値ではなく、人々の反響。その点、「クチコミで人気を集め、ブームを巻き起こした」という意味で、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)と「今日から俺は!!」(日本テレビ系)の2作がズバ抜けていました。

「おっさんずラブ」で注目したいのは、男性同士のラブストーリーという異色の設定以上に、田中圭さん、吉田鋼太郎さん、林遣都さんというドラマ業界における“中堅”、すなわち真ん中のポジションである3人を中心に据えたこと。「旬の若手俳優」のような“新星”や「主演にふさわしい」という“ベテラン”ではなく、あえて中堅の3人で勝負したことが成功につながりました。

一方、「今日から俺は!!」は、1980年代を舞台設定にした面白さを全面に押し出したことが奏効。ヤンキーを中心にした当時の人間模様に加えて、短ランや聖子ちゃんカットなどの80年代カルチャーがヒットを牽引しました。

80年代カルチャーは朝ドラ「半分、青い。」でも何度となくフィーチャーされ、そのたびにネットが沸騰。現在の流行ではなく、1960~1970年代あたりの古き良き日本でもない。真ん中のようなポジションにいる80年代が受け入れられたのは、「親世代には懐かしく、子世代には新しいから」と言われています。

今年、エンタメも芸能人も、「どちらかではなく、真ん中が支持された」のはなぜなのでしょうか?

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