大正製薬、「大衆薬」1800億円巨額買収の勝算 巻き起こる大衆薬の世界再編に生き残れるか
それでも今回の買収に死角はある。
まずは欧州と東南アジアとの違いだ。東南アジアは東京本社が事業運営をコントロールできたが、遠く離れた欧州でそれは不可能だと会社側も認める。欧州企業を日本人や日本企業がうまく差配するのは難問だ。買収後の事業運営やガバナンスをうまく機能させることができるか。欧米での本格的な事業展開の経験がほぼないに等しい大正HDにとってはなおさらだ。
シナジー効果を本当に発揮できるのかも問題になる。UPSAは売上高の半分がフランスで、残りは東欧を含む欧州とアフリカ。アジアはわずかしかない。現在アジア中心に展開している大正HDと地域的な重複がないのはプラスだ。
シナジーは未知数
売上高を拡大するシナジーも口で言うほど簡単ではない。大正HDがBMSに代わり、売上高拡大に資するBMS以上のノウハウや資金、人材など提供できるのかどうか、未知数だ。
それ以上大きな疑問として残るのが、大正HDのビジネスモデルだ。国内OTCと国内医療用医薬品、海外の3本柱を伸ばすのが大正HDの方針。国内の医療用医薬品から撤退するなど論外というわけだ。
だがこれは世界の医薬品業界で起きている潮流とは真逆の動きだ。今年に入って、世界的なOTCの大再編が起きている。
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