台湾によると、11月26、27、29日の3日間、中国が自衛隊機や米軍機に、スクランンブル(緊急発進)をかけたという。一方、防衛省によると、具体的内容は確認されていないというから、不思議な話だ。
大衆の不満そらし、軍部の独走、指導部の面子の3点
今後、事態はどう展開するのかわからない。単なる威嚇行為だけで終わることを望むしかない。だが、なぜこんなことが繰り返されるのか、理由を考えてみたい。
まず、第一の理由としてあげられるのが、大衆の不満だ。中国政府としては大衆の不平不満を外に向けるために、危機感を煽る必要があるのだ。現時点で習近平政権は辛うじて軍隊をコントロールしているが、今回のスクランブル(本当にあったとすれば)などは、人民解放軍の現場判断でなされたとも推定されている。
第二の理由としては、軍部の現場の独走が考えられる。これまでも現場が独走したとみられるケースが何度もあり、今後も繰り返される可能性がある。
第三の理由は、共産党の指導部の面子。面子にこだわるあまり、事態をエスカレートせざるを得ないこともある。つまり、指導力の低下が民衆に悪影響を与えるから、行動がエスカレートするのだ。
石を投げ、波紋を見ながら次の対応を決める中国
ただ、今回の一連の動きで、米国のオバマ政権が素早く対応、中国が発表した防空識別圏、特に尖閣諸島上空を飛行したことには、大きな意味がある。中国はこの対応を予見していなかった可能性も高い。これは米政府が「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であること」を明確にしたことに、ほかならない。つまり、中国がこの地域で勝手に防衛識別圏を変更した場合、今後も「米国は黙ってはいない」ことを明確にしたことに、意味があるのだ。
なぜ、中国はこんな行動をとるのか。それを知るには、中国独特の考え方を理解する必要がある。中国の、昔からの伝統的な発想法はこうだ。
静かな池に、石をぽちゃんと投げ込む。すると、水面に波紋が広がる。この波紋を見ながらあいての反応をうかがい、注意深くではあるが、思い切った手を打つのが、昔からの中国的な発想である。
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