あまりに危険な自撮りが招く最低最悪の結末

命とデジタルデータのどちらが大切ですか?

先ほど紹介した調査によると、事故に遭ったユーザーの年齢は10〜68歳であり、平均年齢は22.94歳。10、20代の若者たちが多くを占めている。

調査結果によると、10、20代の男性の死亡事故が目立つ(図:Selfies: A boon or bane?)

同時に、全体の72.5%を男性が占めている。若者のほうが無鉄砲な行動に出やすく、また、男性に比べて女性が少ないのは、「センスが良い」「かわいい」と思われたい願望が強いため、行動が過激化しづらいからだと考えられている。

死因は「溺死」が最多で、海岸で波にのまれたり、泳げないのに岸辺で自撮りしたり、ボートが転覆したりなどの事例が目立つ。続いて多いのは、走っている列車の前で自撮りして事故に遭うなどの「交通機関」、「銃などの火器」、高い建物からの「落下」などである。このような自撮りの共通点は、スリリングでショッキングなショットが可能となる点だ。

セルフィーはSNSに投稿するために撮られることが多く、主に見る人たちの注目を集めたり、「いいね」やフォロワーを増やすことを目的として投稿される。ところが自撮りが普及した現在は、当たり前に撮っていては「いいね」は集まりづらい。そこで行動を過激化させることで注目を集め、同時に「いいね」やフォロワー増加を狙うというわけだ。つまり、承認欲求が暴走し、判断力が働いていない状態となっているのが問題なのだ。

なお、死亡事故最多の国はインドで、ロシア、アメリカ、パキスタンと続く。ただし、該当調査は英語で報じられたニュースが対象となっているため、日本など英語圏以外の事故は反映されづらい可能性がある。調査結果では日本では起きていないことになっているが、冒頭でご紹介したように国内でも起きているのだ。

「承認欲求の暴走」からエクストリームセルフィーへ

では、国内の自撮り事情はどうなっているのだろうか。株式会社テスティーの「10代女性のセルフィー事情調査結果」(2016年6月)によると、「自撮りの練習はしますか?」という質問に対して半数以上が「する」と回答。「セルカ棒(自撮り棒)は使用していますか?」という質問に対して、約6割が「使用したことがある」と回答した。Instagramがさらに流行している現在は、この傾向がますます強まっていると考えられる。

このように若い世代を中心にセルフィーが普及する一方で、自撮り時に周囲の人たちに迷惑をかけたり事故などにつながるため、JR西日本東京ディズニーリゾート、観光地など、自撮り棒使用が禁止される場所も増えている。

女子高生などに話を聞くと、「日常的に自撮りをしている」「友だちと撮った写真は(本人に)断りなくSNSに載せる」という子は多い。多くの子たちは一度は自撮りの練習をしたことがあるが、「もうどうやれば(自分たちがかわいく)撮れるかわかっているから」と、一発で自撮りを決めていた。「『セルフィーは載せるな』とか親や先生は言うけど、載せないと誰も見てくれないし、いいねももらえない。これまで危ないことになんて遭ったことない」と彼女たちは言う。

次ページ10代女子の「自撮り」が過激化する理由
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