テレビの「替え歌CM」が最近増えている背景

ドコモとLINEモバイルCMが人気のヒミツ

東京キー5局では、1カ月の間に約4200種類ものCMが放送されている。

CM総研が30年以上にわたり実施し続けているCM好感度調査で、モニター1名以上に「好きなCM」としてその4200作品の中からノーヒントで思い出してもらえるのは1/3程度しかない。

さらに1回の調査でモニター1人あたりが自力で思い出せるCMの数は平均3作品にも満たない。4200作品の中から2作に絞られるという激しい記憶の奪い合いにおいて、「一度見ただけで頭に残った」というのは大きなアドバンテージだ。

また、現代の視聴者はテレビ“だけ”を見ている時間は少ない。家事をしながら、スマホを見ながらといった「ながら視聴」が主流となり、画面に集中して見入っている時間は短いだろう。そうなるといくら興味深い映像が流れていても、顔を上げてもらわないことには気づいてもらえない。

一方、耳から入った情報が気になれば顔を上げて見てもらうチャンスを作ることができる。先ほどの「作業中でも目が向く」というコメントはまさに“見てもらうチャンス作り”に成功したことを意味する。特に替え歌は、原曲を知る世代に懐かしさを感じさせるだけでなく、オリジナル曲を知らない世代には新鮮に聞こえることから、幅広い世代に振り向いてもらえる可能性がある。

情報爆発時代に高まる音楽の重要性

CMに限らず日々多くの情報に触れながら生きている現代人の記憶にとどまることはとても難しい。

情報過多・メディアの多様化による情報消費スピードは今後さらに加速していくだろう。かつてのように家族がお茶の間でテレビを囲む時代とは違い、画面だけを真正面から見ていない視聴者の意識を向かせるには耳からの情報=音楽の力はますます重要なアテンションとなっていく。誰もが慣れ親しんでいる楽曲をアレンジして活用するCMが増えているのは、そういった時代背景の表れといえる。

テレビやウェブといったメディアとデバイスの多様化により、広告担当者や広告会社の業務範囲は以前より広く複雑になったといわれる。ただ裏返してみると、さまざまなツールを組み合わせて上手に情報を発信し消費者を楽しませることができれば、今までテレビだけでは作れなかった大きなムーブメントを起こせる時代が来ているのではないだろうか。

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