戦時法制に逆戻り、危うい特定秘密保護法

狙いは日米安全保障の実態報道の制限

「西山事件の判例に匹敵するような行為は、たとえ取材活動であっても処罰の対象になる」──特定秘密保護法案の審議を担当する森雅子国務大臣が10月22日の記者会見で示した見解だ。

西山事件とは、沖縄返還交渉の過程で、公式発表によれば米国が沖縄の地権者に対して支払うはずの土地の原状回復費400万ドルを、日本政府が裏で肩代わりするという、日米政府間の密約をスクープした西山太吉・毎日新聞政治部記者(当時)が逮捕された事件である。新憲法下においても、国家権力は国民の知る権利を躊躇なく押し潰すことを実証した点で、戦後史に残る事件となった。先の森大臣の見解は、特定秘密保護法案の本質を象徴的に示している。

特定秘密保護法は、政府が保有する広範な秘密情報のうち、(1)防衛、(2)外交、(3)外国の利益を図る目的で行われる活動の防止、(4)テロ活動の防止の四つの分野に関し、政府が「特定秘密」として指定した情報の漏洩、取得(未遂も含む)、取得するための共謀、教唆、扇動の行為を最高懲役10年という重い刑で罰しようという法律だ。すでに11月26日夜、衆院本会議に緊急上程され、自由民主党、公明党、みんなの党の賛成多数で可決、参院での審議に入った。

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