ジャカルタ「歩かない」街に地下鉄は根付くか 車社会「駅を出ても歩道がない」は解決する?
まず1つは、バス高速輸送システム「トランスジャカルタ」の改善だ。主に専用レーンを走行する13路線と、接続するフィーダー路線を営業しているが、大会開催に向け2017~2018年中旬までに車両を約1000台増備した。故障が頻発した中国・韓国製の導入を取りやめて欧州製への切り替え、置き換えを進め、インドネシアで初となる低床バスも登場。小型車は日系メーカー製も幅を利かしている。
さらに大会会期中は、市内に流入するマイカーを抑制するため、ナンバープレート(奇数・偶数)による走行規制区域を拡大した。この結果、期間中は普段に比べて渋滞が明らかに少ないという声が聞こえ、既存の通勤鉄道(KCI)とトランスジャカルタを組み合わせた移動も実にスムーズだった。待ち時間が長すぎると言われたトランスジャカルタの汚名が返上できたのは大きい。
近年、トランスジャカルタは各車両にGPSを搭載し、停留所で接近情報が見られるようになったほか、ジャカルタスマートシティ政策の一環で公共交通アプリ「トラフィー」にジャカルタが加わり、位置情報や目的地までのルートが一目でわかるようになるなど、ソフト面での改善も図られている。マイカー抑制策も相まって、2017年末で約45万人だった1日の利用者数は、現在60万人を突破している。
歩道劣悪「歩かない街」に変化
また、メインストリートに限られるが、これまで「人が歩かないから歩道がないのか」「歩道がないから人が歩かないのか」と揶揄されるほど劣悪だった歩道環境が一変。ジャカルタ中心部の幹線道路であるスディルマン通りのうち、大会メイン会場となったブンカルノ競技場とKCI環状線スディルマン駅の間5.5kmに、最大幅5m近くもある立派な歩道が整備された。ここはMRTJ南北線も地下を通る場所だ。
この区間には低床車両を使用した無料バスが運行(現在は土・休日運休)され、2017年12月に開業した空港鉄道のスディルマンバル駅からブンカルノ競技場までのアクセスもしっかり確保された。この部分だけを見ると、もはやジャカルタではないと言いたくなる雰囲気だ。
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