何をしても「自分を卑下してしまう人」の盲点 「ありのままの自分」では社会に適応できない

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「社会に適応すること」に疲れていませんか?(写真:つむぎ/PIXTA)
臨床に携わる一方、TVやラジオ番組でのコメンテーターや映画評論、漫画分析など、さまざまな分野で活躍する精神科医・名越康文氏による連載「一生折れないビジネスメンタルのつくり方」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

「社会に適応できませんよ」という脅し

前回、「社会に適応しているかどうか」ということが、自分に自信を持てるかどうかに大きく関係している、ということをお話ししました。実は「自信を持てるかどうか」ということを考えるとき、この要素は日本の風土において、とりわけ大きな問題となります。

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

ビジネスの場面では、学歴や会社の知名度、職階、年収。プライベートに目を向けると、友人がいるか、恋人がいるか、結婚しているか、子どもがいるか……などなど。日本社会で生きていると、本当に多種多様な基準から「あなたは社会に適応できていますか?」というプレッシャーが与え続けられています。

「これをやらないと、あなたは社会に適応できませんよ?」という”脅し”に、24時間365日さらされ続けている。大げさなようですが、そして個人差はもちろんありますが、この心理的プレッシャーは日本社会の現実の1つでしょう。そして、この”脅し”によって、多くの才能や能力が削り取られ、摩耗し、埋もれてしまっているというのが、日本社会の大問題だと私は捉えています。

もちろん、社会に適応すること自体は、大切なことです。若いビジネスマンの皆さんであれば、会社に貢献し、成果を上げ、しっかりとお金を稼いで家族を養ったり経済を回したりして、次世代へとバトンをつないでいくということは、何に重きを置くかはともかく、誰もが考えなければならないことです。そして、それらをあるレベル以上でこなしていくことは、その人が生きていくうえでの大きな自信につながるのも事実です。

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