ソフトバンク通信障害が映すスマホ社会の罠 4時間半、完全に通信手段がなくなった

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SF小説やアニメでは、通信ハッキングを受けて自動運転車が一斉に停止し交通網が大混乱に陥るといった描写がされることもあるが、そうした事態はもはや空想世界の出来事ではなくなるということだ。

次世代携帯電話網における大規模な通信障害は、大袈裟でもなんでもなく、まさに「新型都市災害」となってしまう可能性がある。

もちろん、行政機関やサービス、製品などを生み出している企業は、高度なネットワーク社会の実現に向けてリスクの洗い出しを行いつつ、障害時対策を練ってはいる。しかし、5Gではこれまでの事例にはない応用分野が増えていくため、必ずしも従来の経験を活かせないケースも出てくるだろう。

社会のネットワークへの依存度が高まる一方で、経験値の低い応用分野でのリスクの幅が広がっていくということだ。

「サイバー攻撃」のケーススタディに

米国は安全保障の観点からZTEやファーウェイといった中国製通信機器を排除しているが、今回のケースは“通信インフラを支える機器が乗っ取られた場合”に、どのようなことが起きる可能性があるのか、はからずも、通信セキュリティのリスクをシミュレーションすることにもなった。

まだ社会的影響が限られている時期に、欧州メーカーであるエリクソンのミスによって、通信事業に関わる人だけではなく、さまざまな立場の人が今回の大規模通信障害を経験し、どのようなことが起きるのか想像力を働かせることができたことは無駄ではない。

これから始まる5G社会。グローバルで国としての競争力を高めていくには、国全体を挙げて社会イノベーションへと取り組んでいかねばならないことも事実だ。

今回のネットワーク通信障害が、今後さらにネットワーク化される社会が持続的に発展する方法を考えるきっかけになるならば、障害による損失を超えて社会全体が一歩前に進むことができるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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