JR品川新駅、なぜ「高輪ゲートウェイ」なのか? 6万件超の応募で決定、そのものズバリは36件

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2018年1月の新駅建設現場(撮影:尾形文繁)

新駅のすぐそばには都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅がある。新駅と泉岳寺は乗り換えに際しての利便性が保たれるはずで、その意味では新駅に泉岳寺という駅名を付ける選択肢もあったはずだが、再開発エリアのコンセプトを優先した格好となった。かつて泉岳寺駅の駅名をめぐっては、寺側が使用差し止めを求めて提訴したこともあった。

山手線の駅名のうち、カタカナが含まれる駅名は今回が初めて。しかし、昨今はカタカナ混じりの新駅名が見られることもあり、近年の流行に沿ったものともいえる。

隈研吾氏は予想していた?

駅舎の公開時、報道陣の質問に答える隈研吾氏(撮影:尾形文繁)

新駅の駅舎をデザインしたのは建築家の隈研吾氏。駅舎の特徴である白い大屋根は「日本の伝統的な折り紙をモチーフとしました」と、隈氏は説明する。この白い大屋根からは障子越しのような柔らかい光が駅舎内に差し込むという。つまり、和のテイストがふんだんに盛り込まれた駅舎だ。

8月29日の駅舎の報道公開時に、隈氏は「和のテイストを取り入れているが、シンプルでモダンなデザインなので、どんな駅名でも合うと思う」と話していた。カタカナ混じりの駅名になることをある程度は予想していたのかもしれない。

高輪はこの再開発エリアから品川駅前エリアの周辺の地名である。都営浅草線に高輪台、都営三田線・東京メトロ南北線に白金高輪という駅名がある。そこへ山手線の高輪ゲートウェイが仲間入りする。

再開発エリアが、JR東日本のもくろみどおり、世界へのゲートウェイになるとしたら、高輪という地名もグローバルになる可能性がある。「グローバルゲートウェイ品川」は、あくまで再開発エリアのコンセプト。駅名の決定を受けて、エリア自体の名前も「高輪」を冠することになるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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