前田裕二氏「GAFAには、弱点があると思う」

「精神の奪い合い」が次世代ビジネスの主戦場

とはいえこれらは、少しレベルの高い話です。そこまでやらなくとも、リーダーがファンに面と向かって「私はこういう意見なんだけど、あなたはどう思う?」と話せるような、自助努力で双方向性の高さを担保できる規模ならば誰にでも作れますし、そこで(小規模だとしても)誰かの可処分精神を獲得することができます。

どんどん現実が寂しくなる時代、人は双方向のコミュニケーションに癒やされるわけですから、こうしたインタラクションがデザインされている分散型のコミュニティーが今後無数に出来上がるでしょう。もし、それらを束ねる胴元的存在が現れ、その企業価値が可視化されれば、驚くほどの規模になると思います。

「誰も覇権を握らない」という可能性

――GAFAに代わって、今後はそういった胴元企業が覇権を獲るということでしょうか。

可能性はあります。しかし、「集中から分散へ」という仮説を立てている時点で、「誰かが覇権を獲る」という予想は正しく未来を捉えていないかもしれません。仮想通貨市場が今以上に発達すれば、特に資本市場から調達しなくても、その自律分散型コミュニティー内だけで経済圏が完結し、回っていきます。そうすると、「うちのサービスは何十億人が使っていますよ」なんて、わざわざ言う必要もなくなる。コミュニティーを取りまとめて、その大きさや偉大さを誇示し、それによって時価総額を最大化し、その時価総額をテコにして、市場から成長資金を調達する。こういった必要がなくなるわけです。

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そうなると、もうGAFAのように、誰か限られた存在のみが中央集権的に力を持つような世界ではなくなります。代わりに、超熱狂的な小規模の自律分散型コミュニティーが無数に存在するようになる。この状態では、もう誰も覇権を握ってはいません。

これから多くのプレーヤーがこの未来を前提にして動くと思っています。そして、可処分精神を奪うためのネット上のサービスやプロダクトをたくさん出してくる。この趨勢によって、今この瞬間に中央集権型のビジネスにこだわっている会社の顧客や人材は、どんどん分散型のニュープレーヤーに奪われていくことになるでしょう。

(後編は後日公開。構成:泉美木蘭)

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