勝てる個人投資家になる「ただ1つのルール」 株で600万円失っても復活できた理由とは?

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実際、損を小さくできれば、残りの資金で運用することでリカバーできます。誰もがある程度自信を持って買いを入れると思いますが、こうした自信に基づく予測はおおかた外れます。億トレーダーと言われる個人投資家でも、値動きを完全に読むのは不可能なのを自覚しています。予測を外したときは着実に損切りを実行しているのです。だからこそ、彼らは勝ち続けることができるのでしょう。

一方、利益確定は、どういうルールで実行していけばいいでしょうか。これもやはり淡々と行うべきです。投資の格言に、「利食い千人力」というものがあります。利食い(利益確定)は「千人の力を得るのに等しい」という意味ですが、投資においていかに利益確定が大事かを表した格言です。いくら含み益を抱えたとしても、現金を手にして初めて利益が確定するものです。実際、欲をかいて持ち続けていたら、いつの間にか含み損になってしまった経験のある人は多いのではないでしょうか。

やはり、利益確定も損切り同様、感情が邪魔をしてきます。であれば、機械的に利食いができるようにルールをしっかり設けるべきなのです。こちらも、ロスカットルールと同じく、「株価が買い値より◎円(◎%)上がったら売る」というルールを作ります。私の場合、「株価が20%上がったら売る」というルールを実行しています。

実は大人気の学園投資マンガ『インベスターZ』の中でも、利食い・ロスカットのルール設定について説いています。マンガの中では、いかに儲けられるかは、「自分の一切の感情を捨て、自分の上に法則を置くこと」とされています。肝心の数字のルールは、「利食い20%」「損切り10%」。初心者の場合、「利食い10%」「損切り5%」と書かれています。インベスターZは、楽しみながら投資を学べるまたとない漫画です。読んだことのない方は、ぜひ一読をお勧めする投資漫画の一つです。

「損切り」と「ナンピン」、どちらを優先するか

さて、もし買った株が下落してもロスカットを選択しなかった場合、その代替案のひとつが、「ナンピン買い」です。これは、値下がりした株式をさらに買い増し、平均購入価格を下げることです。

例えば、ある銘柄を1000円で100株保有していたところ、株価が900円に値下がりしたとします。ロスカットを行わない場合、含み損がなくなるには、再び株価が1000円に戻るまで待つ必要があります。このとき、100株を9万円で買い増しをすると、平均購入株価は950円になります。つまり、株価が950円になれば損失をなくせます。首尾よく1000円に戻ったら、1万円の利益まで出ます。

とはいえ、そう簡単にいかないのがナンピンの難しいところです。投資の格言に、「もうはまだなり、まだはもうなり」というものがあります。「ここまで下がれば、もう底だろう」と思ったら、そこからさらに、2番底、3番底に達することもあるし、逆に、まだ下がるだろうと思って損切りしたところが底だった、ということもよくあることです。

ナンピンは、ファンダメンタルズ分析はもちろんのこと、相応の資金余力、なるべく底に近いところまで待ち続けて買いを少しずつ入れ、株価が戻すまで耐える忍耐力がないと、うまくいかないものです。しかし、株価はなかなか思いどおりには動いてくれません。ここは下手にナンピンをせず、やはりルールにもとづいてロスカットするのが無難でしょう。「下手なナンピン、スカンピン」という格言もありますが、これは下手にナンピン買いをすると貧乏になるという意味です。

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