環境問題に一石投じる斬新なインスタ活用術 多様な生命守る「#ANIMAL_SELFIE」の意義
堀:この取り組みについて江上さんが私に連絡を下さって、すぐに食いつくように一枚一枚拝見しました。というのも、動物たちの後ろに写っているのは社会問題なんですよね。
江上:はい。今回、「動物たちが自ら発信している」というのがすごく大事。「私たちが動物にお願いしてやってもらっている」という設定にしています。セルフィーってすごく身近ですよね。「動物たちがそのセルフィーをせざるを得ないほど大変な状況なんだよ」ということを訴えています。
堀:今、国連でも「SDGs(持続可能な開発目標)」を掲げています。特に先進国が、経済発展のためにこのまま過剰な開発を続けるなどして自然環境を犠牲にしていくと、いつか自然が破綻してしまう。私たち人類だけでなく、その影響は先に自然環境に及んでいく。すなわち、そこで暮らす動物たちに多大なる負荷を与えることになる。「今考えないと」というタイミングですよね。
動物目線のハッシュタグ
河村:そうですね。本当にそうだと思います。例えば、「#ANIMAL_SELFIE」の中にもある「アカウミガメ」。「#(ハッシュタグ)」で「#この白いのってクラゲさんかねえ」「#食べられるんじゃろうか」と書いているのですが、動物の背後に写っている物体のことを「アカウミガメ」に語ってもらっています。実際にこの物体はクラゲではなく、プラスチックバッグ(使い捨てのレジ袋)です。他にも、プラスチックのコップなどが写っています。ご存じの方も多いと思うのですが、「海洋プラスチック」の除去が世界中の課題になっています。
「McKinsey & Company and Ocean Conservancy」によると、現在1億5000万トンという膨大な量のプラスチックが海洋上に放出されてしまっており、「アカウミガメ」を筆頭に700種の野生生物に悪影響を与えている(参照)。亀の鼻にストローが入ってしまっている有名な動画もあります(参照)。その亀は幸い平気でしたが、プラスチックを食べてしまって息ができなくなり死んでしまう動物もいて、個体数をどんどん減らしてしまっているという現状があります。「綺麗だった海がこんなになっちゃっているんだけど」というのを、深刻に言うと深刻になり過ぎてしまうので、動物たちに少しとぼけてもらいつつ発信しています。