日本とアメリカ「貿易戦争」にならない理由 1980年代の繰り返しはあり得ない

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また、日本の55%という数値は、中国の貿易政策を公正と答えたアメリカ人の割合が30%だったのと比較してはるかに高い。同調査では、62%が中国の貿易政策は不公正であると考えている。これに対して、カナダ、EU、日本の貿易政策に対して不公正と考えている回答者の割合はそれぞれ24%、29%、33%と低かった。

ただし、中国への警戒感の高まりゆえに、トランプ政権が今後2年間日本を見過ごしてくれるということはない。マイク・ペンス副大統領がハドソン研究所での10月4日の演説で述べたように、アメリカ政府は日本と自由貿易協定(FTA)を締結したいと考えている。もっとも、日本の自由民主党が被る政治的ダメージを軽減するために、2019年夏の参議院選挙が終わるまで、農産物への関税の低減を日本に迫ることをトランプ政権は控える見込みではある。

アメリカが日本に求めてくるのは

11月7日の記者会見でトランプ大統領は、「(安倍晋三首相は)非常に親しい友人だ。だが、貿易では日本はアメリカを公正に扱っていないと彼にはいつも話している。日本は低い関税率で何百万台もの自動車をアメリカに送り込んでくる。日本はアメリカの自動車は買わない。買うにしても、アメリカの自動車には非常に高い関税を課している。アメリカは日本に対して1000億ドル近い貿易赤字を抱えている。日本はアメリカに非常に不公正な扱いをしているのだ」と述べた。

この発言は、トランプ大統領が1980年代から日本に対して一貫して持っている認識を反映している。当時のトランプは、「アメリカの雇用を奪い、輸出を過剰に行い、アメリカ製品を購入せず、通貨操作を行い、防衛にただ乗りしている」と、日本を公然と非難していた。1980年代はトランプにとって国際貿易と通商に関する世界観を形成する時期となった。

そして、日本は、「アメリカを利用し、不当に扱い、利益のみを奪い、最終的にアメリカを弱体化させ機能不全に陥れる国」として、トランプの世界観の中で最も明確な例となったのだ。それはまるで、彼の日本観の中では、バブル期の1980年代の日本がそのまま冷凍保存されてしまっているかのようである。

1980年代にUSTRに所属し、現在USTRのトップを務めるライトハイザーや、ア商務省次官ギルバート・キャプランの同僚だった筆者の経験を基にすると、自動車に関しては、アメリカが望む解決策はアメリカ製自動車を日本に売り込むよりも、アメリカ市場が輸入する日本製自動車を制限することになるだろう。

結論として、トランプ政権は、日本との2国間における貿易赤字の削減へ向けて取り組みを継続すると考えるのが妥当である。具体的には、日本による対アメリカ投資の増加や、アメリカ企業による日本の農産物、カジノ、サービス産業などへの参入、アメリカ製軍装備品の輸入拡大を図ると同時に、自動車を含む日本製品へのアメリカへの輸出制限が考えられる。しかし、政治および安全保障上の同盟国である日本の価値を考慮に入れると、現在米中間で進行中の貿易戦争のような敵対的関係が日米間で発生する可能性は低いと言えよう。

グレン・S・フクシマ 米国先端政策研究所(CAP) 上級研究員

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Glen S. Fukushima

ワシントンD.C.のシンクタンク「米国先端政策研究所(CAP)」の上級研究員。カリフォルニア州出身で、アメリカ合衆国通商代表部で対日と対中を担当する代表補代理や在日米国商工会議所の会頭を務めた経歴を持つ。また、ハーバード大学の大学院生のときには、エドウィン・ライシャワー教授、エズラ・ヴォーゲル教授、デイヴィッド・リースマン教授の助手を務めた。

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