ビットコイン「決済利用が激減」の深刻背景 遠い「代替通貨」の夢

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11月20日、仮想通貨ビットコインの価格は一時に比べて落ち着き、決済通貨としての基本的特徴である「安定性」を満たし始めた。写真はビットコイン払いを受け付けているシンガポールのカフェで2017年12月撮影(2018年 ロイター/Edgar Su)

[ロンドン 20日 ロイター] - 仮想通貨ビットコインの価格は一時に比べて落ち着き、決済通貨としての基本的特徴である「安定性」を満たし始めた。ところが決済における利用は今年劇的に減っており、投機的資産からまともな代替通貨への脱皮に苦労しているようだ。

ブロックチェーン調査会社チェイナリシスのデータによると、主要な決済処理機関によるビットコインの取扱高は、昨年12月には4億2700億ドルだったのが、今年9月には9600万ドルと80%近くも減少した。相場が落ち着けば決済手段としての利用が広がるとの期待が裏切られた格好だ。

インフラの向上を模索

大手金融機関や仮想通貨業界の関係者は、ビットコインを決済通貨として羽ばたかせるため、インフラの向上を模索している。

UBS(ロンドン)のストラテジスト、ジョニ・テベス氏は「新たな通貨になるには安定性の要件を満たす必要がある」とした上で、「しかしビットコインが主流通貨になるのに必要なのは拡張性、つまり通常の通貨並みの価値、量を処理できる能力だ」と語る。

拡張性とは、1秒当たりに大量の取引を処理できる能力。ビットコインが依拠するブロックチェーン技術は、1秒当たりの処理能力が主要クレジットカード会社に比べてほんのわずかにとどまる。これでは利用拡大は見込めない。

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