不可能を可能にするパラスポーツ授業の中身

「I'mPOSSIBLE」公開授業の光景

「障がいがある人たちの可能性に目を向ける。できないことに目を向けず、できることに目を向ける。『失ったものを数えるな、残っているものを生かせ』です」と、自らの経験に寄る気持ちを教材に込めている。

「I’mPOSSIBLE」と名付けたのにも理由がある。障がいのある人たちの「Impossible(不可能)」に目を向けがちだが「’(アポストロフィー)」を1つ入れることで「I’mPOSSIBLE(私はできる)」に変わる。

マセソン美季さん。「I’mPOSSIBLE」のパネルと一緒に(筆者撮影)

「できないと考えるのではなく、やり方や考え方を少し変えるだけで可能になるというのは、パラリンピアンもオリンピアンも一緒ではないでしょうか」

フィギュアスケートの羽生結弦選手らオリンピアンを見ても初めからできないと決めつけるのではなく、できると信じて、工夫や努力を続けていくことが大事だと思える。

ただ、延べ5万6000セットを全国に配布したものの「どれだけ使われているかわからない」のが実情。教材を利用した教員らからは好評価で、今年に入って、徐々に問い合わせの数も増えてきている。一方で、教材の存在を知らない学校も少なくなく、認知度を広めることが近々の課題だ。

「教育は普通、上(教師)から下(児童・生徒)ですが、パラリンピック教育は、リバースエデュケーション(逆向きの教育)とも称されています。子どもが学校で習ってきたことを、周りの大人に伝えて教育が浸透していきます。子どもの言葉は伝わりやすいので、子どもの言葉を基に大人が平等や公平を考える。授業はそのきっかけになると思っています」とマセソンさんはいう。

東京大会でパラリンピックをどこまで盛り上げられるか

パラリンピックでは、2012年ロンドン大会が史上最高の盛り上がりだったとされる。

「招致の時にパラリンピックのチケットを購入して見に行きたいと思った人はほぼ皆無でした。大会までの7年間、学校教育でパラスポーツの意義を子どもたちに伝え、子どもたちが興味を持ちました。そして、会場に応援に行きたいと言って周りの大人たちも巻き込んで観戦に出かけたようです。結果、どの会場も盛り上がった」という。

その子どもたちは大人になってもパラスポーツのことを忘れないだろうし、またその子どもに伝えていくのだろう。

「障がいがあってもなくても、個性だと思った」「パラスポーツが身近になったし、なればいいと思った」「見たことがなかったけど、授業で道具とか知って、尊敬した」「2020年のパラリンピックが楽しみになった」「普段と違うスポーツができて楽しかった」

授業を終えた子どもたちの感想だ。

大人でも、この教材を使えば何かを見つけられるかもしれない。

「I’mPOSSIBLE」日本版ウェブサイトは東京2020大会組織委員会「東京2020教育プログラム」HP内から一部の教材を除きアクセスできる。
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