《介護・医療危機》ホームヘルパー、ケアマネジャー座談会~大激変招いた06年報酬改定 利用制限、人材確保に苦慮
悩ましい利用者負担増 処遇改善に工夫を
--介護保険制度では、ヘルパー10人に1人の割合で、管理者であるサービス提供責任者の設置が義務づけられています。ヘルパー不足の中で、負担の重さはいかがですか。
C 06年4月に制度が変わったときに、サービス提供責任者の責務が一覧として示されました。具体的には、契約や職員研修など最低限やるべき8項目が示されました。それを機に、書類の整理がすごく大変になりました。その8項目をきちんとこなすと、ケアマネジャーと業務量はあまり変わらなくなると思います。
--ホームヘルパーの仕事もやりながらですね。
C はい。僕は経営者で勤務時間の縛りがないので、昼間はフルに訪問介護をして自分の給料を稼いでいます。そして夜に事務作業をする。そうでないと、僕らみたいな小さな会社は、やっていけません。サービス提供責任者手当てのようなものを国が出してくれると職務を全うできるのですが……。今は自分の分は自分で稼がないといけない。
--「特定事業所加算」という仕組みが06年改定で創設されました。(1)体制要件(ヘルパーに計画的に研修を実施)、(2)人材要件(事業所のヘルパーのうち、介護福祉士の割合が3割以上。サービス提供責任者の全員が5年以上の経験を有する介護福祉士)、(3)重度対応要件(訪問介護利用者のうち、要介護4と5の割合が2割以上)の(1)~(3)のすべてを満たす場合、事業所として基本単位数の20%の加算を受けられることになりました((1)と(2)を満たす場合、(1)と(3)を満たす場合は10%)。同加算の創設をどう評価しますか。
B 特定事業所加算を取得すると、介護報酬とともに利用者の自己負担も1割または2割アップします。利用者にはわかりにくいですし、(3)の重度対応要件を満たすには、包括センターからの予防プラン作成の委託を断らないといけない。そういうわけにはいかないので、特定事業所加算は取得していません。
C 私が仕事をしている地域では独り暮らしでぎりぎりの生活をしている人が多い。ですから、加算を取る自己負担も上がってしまう。また限度額いっぱい使っている人は利用を減らさざるをえなくなる。プロとしては加算はあったほうがいいと思いますが、それだからといって、多くを徴収できませんね。
--06年改革を機に要介護認定が厳しくなったために、今までのような利用が困難になったという話も聞きます。それによって、自費での利用が増えているともいわれます。
B 自費での利用は確かに増えています。私の事業所では、自費サービスを安く設定しています。大抵の事業所は介護保険給付費の10割を自費サービスの金額として設定していますが、うちは半額くらいにしています。介護保険で賄えない分を自費で入れたり、同居家族がいるという理由で生活援助を認められない方に対して低料金で対応しています。
D 自費の利用が増えていることは大きな問題だと思います。要介護認定で要介護の区分が本当にその人の実態を示しているのか、いつも疑問に思います。ケアマネジャーの方には、ヘルパーの話をしっかり聞いてもらい、おかしな認定には利用者と一緒に役所と強く交渉してほしい。必要最小限のサービスについては、なるべく自費を使わずにやっていただきたいと思います。