日本から「ゲイツ」「ベゾス」が生まれない理由 「IT遅れ」日本の学校はシアトル流教育に学べ

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アメリカのビジネス誌フォーブスが今年発表した長者番付によると、ゲイツが1994年以来24年間続けていた首位の座を明け渡したという。その座を奪ったのが、アマゾン創業者で最高経営責任者(CEO)のベゾスだった。

ベゾスはシアトル出身ではないものの、彼がシアトルに与えた影響は計り知れない。アマゾンの成功がシアトルに巨大な雇用を創出し、優秀な人材が大挙することとなった。その結果、シアトルに拠点を置くIT企業が増え、必然的にITスキルが高い保護者も増えた。

これに伴い、学校もそれなりの環境が求められることとなり、シアトルの教育は今、大きな注目を浴びている。では、当のベゾスはどんな教育を受けたのか。

ブラッド・ストーン著『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』によると、ベゾスはヒューストンの公教育の一環として推進する英才教育プログラムを受けている。プログラムは授業以外に、実践活動としてグループの討論や個別学習の時間があった。ベゾスは当時、校長室で車座になり、生産的思考の実践を受けた。ベソスはこれを機に、勉強した内容がどういう意味を持つのか考える力を持たなければならないことを悟ったという。

その後ベゾスはヒューストンを去り、シアトルに移り住んだ。そしてアマゾンを創業した。

「どの子どもにも等しく学びを」という日本の教育は賛美されるべきであろうが、教育には「機会の平等」も大切であり、あまりに強く「結果の平等」を求めすぎた場合は、才能ある子どもにとってはマイナスになることもある。

「たられば」ではあるが、もしゲイツとベゾスが日本で教育を受けていたら、その才能は開花していただろうか。今のシアトル経済を支える2人がイノベーターになれたのは、自由な空気に包まれた英才教育のおかげなのではないか。ゲイツやベゾスのように個性の強かった子どもには、日本の学校はやや窮屈かもしれない。

ICT教育に必要な人材が豊かなシアトルの学校

筆者は今年9月、シアトルの小学校を訪問した。先端テクノロジー都市らしく、小学生には1人1台のパソコンが割り当てられていた。加えて、教師に対して先進的なICT教育の説明や情報発信を行う「マイクロソフト認定教育イノベーター」が、教員の中になんと7人もいた。

この資格を有する教師は、さまざまなテクノロジーを活用した実践を進め、ICTを生かす授業をクリエイトできることで知られる。日本の学校にも極たまに存在するが、1校に7人もいるとはすごい。

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