20代の多くが「研修は時間のムダ」と思うワケ 若手の「貴重な時間」を浪費していませんか?

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確かに、ロジカルシンキングのいのいちばんに出てくる「MECE=Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(モレなくダブりなく)」みたいな概念は、いま思えば、別に時間給の超高いマッキンゼーさんにやってもらう必要などなかったと思います。いまでは新入社員でも知っているようなものです。

つまり、普通の研修はもうコモディティ(一般化したため差別化が困難となった製品やサービス)化してしまっているのです。そんな研修に対して、受講者となる若者が「時間のムダ」と思うのは、極めて自然なことかもしれません。つまらないから「時間のムダ」と思うのです。

しかも、さらに、現代では学ぶチャネルがどんどん多様化しています。「Google先生」と呼ばれるように、知らないことがあれば検索すれば誰かが詳しく説明してくれています。

本屋に行かずとも瞬時に欲しい本が手に入る「Kindle」などの電子書籍もあれば、ニューズピックスやスマートニュースなどのニュースメディア、ほかにもデジタルメディアはどんどん質の高いものが出てきています。グロービスも「グロービス学び放題(グロ放題)」というスマホでも学べるサービスを提供しています。テッドでは、短い時間で感動的なスピーチが聞けます。ムークという無料で学べるオンライン大学講座までもあります。

このような、どんどん増えているオンライン上で気軽に学べるチャネルと比べて、リアルに実施される普通の研修はどんな競争力があるでしょうか。

そっくりさんが出てくるライブに価値があるか

研修の醍醐味はリアルであること自体だ、ライブ感だという人もいます。本を読んでいるだけで知識を得ることはできますが、リアルにインプットされるとインパクトが強くて記憶に定着するというのは確かに事実だと思います。ただし、費用対効果の問題です。

本は1冊で1000円から2000円。研修は、下手すると1日かけて数万円を支払うことになりますが、それだけの差があるのかということです。要は、費用に見合うインパクトがあるかどうかということなのですが、表題のような不満が出るということを考えれば、若者は「無い」と判断しているのでしょう。私もわかる気がします。

本を書いているのは「本物」です。著者という有力者、有名人です。SNSで直接コミュニケーションをとったりすることさえ可能です。ところが、(失礼な言い方で恐縮ですが)、研修というライブに出てくる人は、本人ではなく「そっくりさん」。リアルということのインパクトを踏まえても、下手すると「そっくりさんならDVDでいいや」と思う人がいても不思議ではありません。私も、ミスチルのDVDは見たいですが、ミスチルのそっくりさんのライブには行きたいとは思いません。

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