ドン・キホーテ流ファミマが持つ個性の強み コンビニでも圧縮陳列の手法で攻められる
実は、粗利益が低いものの、集客効果がある「食品」と、粗利益が高い「住」商品をうまくミックスするのがドンキ流と言えるものです。そして、「住」で得た利益を「食」にまわし、さらに商品力を向上させる点に、ドン・キホーテの成功方程式があります。
さて、ドン・キホーテが「腹を括ったMD」と表現した、ファミリーマートとのダブルネーム店舗もユニークです。
コンビニがどのように「ドンキ化」したか?
そこで、「ファミリーマート PRODUCED BY ドン・キホーテ」となっている東京・目黒区の大鳥神社前店で、どのように変わったか見てみましょう。
実際に行ってみると、ドンキ流が貫徹されていました。マニュアルなどはなく、現場でお客のことを徹底的に考え、仕入れをした結果のようです。このように、現場への権限委譲にもドン・キホーテの特徴があります。すなわち、チェーンストアであるにもかかわらず、個店主義を貫いているのです。
まず驚くのが、入り口に、お菓子を大量にダンボール陳列している点です。近くにはいくつかファミリーマートがあるものの、それら通常のファミリーマートとの違いが鮮明です。おそらくマンションなど、住宅街が近いからか、外から子どもを引き寄せるには十分です。実際に私が入店した際、母親たちの制止を振り切って子どもが入ってきました。
ドン・キホーテでは圧縮陳列により、無数の商品を比較展示するのに加え、お宝探し感を醸成しています。ドン・キホーテに比べると、棚数や照明など、まだ抑え目ではありますが、コンビニでも同じやり方を貫徹しています。
加えて、通路にはダンボールのジャマ陳があります。ジャマ陳とは、スーパーマーケットで見られる手法で、通路中央に、お客の進行をジャマするように商品を重ねるものです。
そしてレジも工夫されています。ほかのコンビニでもよく見られるのは、レジの横に、肉まんやコロッケなどが売られており、そして、その前には、「ついで買い」を誘発する什器が置かれているケースです。
小売店にとって、この「ついで買い」は重要です。なぜならば、コンビニの客単価は500〜600円といわれていますから、100円のお菓子でも買ってもらえれば、それだけで客単価が20%ほどアップするためです。新たにお客を呼ぶよりも、すでに来店してもらっているお客の単価を上げるほうが効率的です。
ドンキ×ファミマ店で目を引くのは、圧縮陳列よろしく、レジ下に、さらに商品を広げています。ここでレジに持ってきたお客に、最後のアピールを行います。さらに、ついで買いの什器の下も有効活用しています。ここには酒類を置いています。
もしかすると、そこまでやっても、「ついで買い」をしないお客もいるはずで、数パーセントしか違わないのではないかと思ったかもしれません。私は、いや「その数パーセントが重要なのです」と答えます。最終的な利益は、売上高に比して、どこも数パーセントしか残りません。逆に数パーセントでいいのです。
このような工夫の積み重ねによって、ドン・キホーテはこれまで増収増益の階段を上がり続けてきたのですから。
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