電車広告料金、紙とデジタルどっちが高い? 相互直通する会社間で価格に違いはあるのか

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E235系の貫通扉の上にもディスプレーが設置されている(撮影:風間仁一郎)

E235系はドア上だけなく、窓の上に3つ、貫通扉の上に1つの液晶ディスプレイを設置。つまりE235系は1両当たり28個の広告用の液晶ディスプレイ数を搭載している。E231系の広告用ディスプレーは8個だったので劇的に増えた。

窓上3画面に30秒CMを半年間流す場合の広告料金は2900万円。E235系の運行本数が少ないため割安になっているようだが、山手線では2020年春ごろまでにはすべての編成がE235系に置き換わる。その後は横須賀線や総武快速線などにもE235系が導入される予定だ。運行本数の拡大に合わせて認知度が高まれば、今後は窓上スペースの広告料金も上がっていくだろう。

ただ、E235系以外のJRや私鉄の電車では、本来なら紙の広告が掲出されているはずの窓の上のスペースがガラ空きになっていることがしばしば見られる。このスペースに動画のCMを流すE235系はどこまで乗客の関心を引きつけることができるか。トレインチャンネルは紙の広告にはなかったドア上という新たな広告スペースを開拓したが、窓上や貫通扉の上の広告媒体価値を高めることがE235系の課題ともいえる。

中吊りよりも人気が高い場所

デジタル広告の売り上げがぐんぐん増えている一方で、紙の広告は年々売り上げが下がっているという。その原因は車内広告の代表的な存在である中吊り広告の落ち込みだ。「30年前は中吊り広告の6割を出版社系が占めていた」(星野局長)というが、近年は雑誌の売れ行き低迷により中吊り広告の出稿を見合わせる出版社が続出。「出版以外の業界は引き続き中吊りへの出稿に意欲的」(同)というが、出版社が抜け落ちた穴を埋めるまでには至らない。

「ドア横新B」と呼ばれる広告スペースは乗客の注目を集めやすいことから、料金も高い(撮影:風間仁一郎)

もっとも、中吊りに代わって、近年人気を集めている場所がある。ドアの横にある「ドア横新B」と呼ばれるスペースだ。中吊りや窓上広告と違い、乗客の目線と同じ高さにあり、乗客が下車するときは必ず目にする。このスペースはJR首都圏主要路線を一括して販売し、1両につきドア横4カ所を1週間掲出する場合の広告料金は2000万~3000万円。一方でほぼ同じ路線をカバーする中吊り広告料金は1週間800万円。それだけドア横新Bの広告価値が高い。

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