教養として読むべき「経済学の名著」ベスト5 数式がほぼ出てこないすごい本も!
クルーグマンは、なぜアメリカがそんなダメダメな経済状況への改善努力をしないのかについて、専門家目線ながら非常にくだけた文体で、僕らに説明してくれています。
この本のいいところは、読者に経済の着眼点をはっきりさせてくれている点。メチャクチャわかりやすく「経済で注目すべき点」と「注目しがちだが実は全然重要じゃない点」が書かれています。
しかも全然回りくどくなく、テンポがいい。彼によると経済書には「ギリシャ文字式(理論的で数学多用。内容が優れていても、ちんぷんかんぷん)」「ジェットコースター式(最新のニュースや統計データにばかり気を取られた、絶望的に退屈な本)」「空港式(空港の本屋によくあるベストセラー系。たいがいは大惨事を予言している)」の3パターンがありますが、この本はそのどれにもあてはまりません。
つまり彼は、従来なかった「中身があって気楽に読める本」を、僕らに提供してくれたのです。「どこが大事なのか」という僕らが一番知りたいことを、誰にでもわかるように書いてくれています。
――今注目の「ベーシックインカム」とは?
スマホにタブレットにハイブリッドカー……。物質的には豊かになったのに、何で気分はこんなに詰んでいるんだろう?――それは金がなくなることが怖いからだ!
労働時間を減らし、生活を豊かにする
生きるためにはお金がいるし、金を得るには職が必要です。でも今は、世に職業はそんなに必要がありません。生産能力はあり余っているし、技術革新だってめざましい。はっきり言って僕らの労働時間を半分以下に減らしたところで、モノが足りなくなったりしないのです。
そう、今日の生産活動の大半は「必需品を生み出すための生産」ではなく「雇用を維持するための生産」だとブレグマンは言います。
こんな不毛なことはもうやめよう。人々の労働時間を大幅に減らして、かわりに「ベーシックインカム制度」を導入すればいい。ベーシックインカムとは「すべての人に必要最小限の所得を無条件で保障」する制度で、昨今欧州で実験的に導入する国が出始めています。昨今ニュースでもとりあげられることが多いテーマです。
もう福祉も長時間労働もいらない。必要なのはベーシックインカムだ。お金を直接もらえる保障、これに勝る処方箋はない。詰んだ気分を払拭して、生活を真に豊かにしよう。これがブレグマンの訴える「隷従なき道」です。
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