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移民拡大に潜む「健康保険制度」破壊のリスク 周辺制度設計についても丁寧な議論が必要だ

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厚生労働省が9月21日に公表した2017年度の概算医療費は42.2兆円。過去最高を更新したが、5月の経済財政諮問会議はさらに2040年度には66兆7000億円にもなると予想している。このように伸びていけば、消費税率10%くらいではとても追いつかなくなる。

そうした状況で外国人の健康保険不正受給が問題となったとしたら、国民の不満は一気に爆発する危険性があるのではないか。

国民皆保険制度を壊すリスク

海外では、そうした前例がある。

たとえば1990年代にドイツでは「ゾーリンゲン事件」のような悲惨な外国人排斥運動が起こった。排斥運動の直接の原因となったのは、事件を起こした右派特有の他民族への無理解と非寛容である。しかし、その背景には、子どもが少ないドイツ人の納税が子だくさんの移民の家庭に使われることに多くのドイツ人が不平等感を持っていたことを忘れてはならない。

そもそも政府がもっとも受け入れたいのは、専門性がさほど必要ではない安価な単純労働で日本人が就きたがらない職種の労働者だ。そうした労働者への需要は、経済発展が続くアジアでも大きく膨らんでいくだろう。受け入れ拡大への確実な見通しがあるわけでもない。

「バスに乗り遅れまい」と外国人労働者の受け入れ制度導入に安倍内閣は急いでいるが、それは日本が世界に誇る国民皆保険制度を壊す危険を冒してまで遂行しなければならないものだろうか。

今からでも遅くはない。周辺制度の設計についても、丁寧な議論をしていく必要があるだろう。

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