日本で年収300万超の外国人が大量に働く日 臨時国会に上がらない重要な議論がまだある

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日本人と外国人は仕事を奪い合うことになるのでしょうか(写真:Taka/PIXTA)

「特定技能」という新たな在留資格を設け、外国人の単純労働者を受け入れるための入管法改正案が、開会中の臨時国会に提出される。成立した場合、来年4月から、外食、介護、建設、農業、宿泊など十数種の分野で2025年までに数十万から数百万人規模の単純労働者の受け入れが始まる。

在留資格は2つ新設される。1つが「特定技能1号」(在留期間は通算で最長5年)で、技能実習修了者などを対象とする。もう1つが「特定技能2号」で、「特定技能1号」で在留中に一定以上の技能レベルを修得することが要件となる。「特定技能2号」に変更できれば、家族の呼び寄せや長期滞在が可能になる。

10月12日にこの入管法改正に関する政府案の骨子が公表され、ようやく実質的な議論がはじまった。この入管法改正が成立すれば、これまで認めてこなかった外国人単純労働者の受け入れという歴史的な政策転換により、日本が本格的な移民社会に突入する。

見落とされている「改正」がもう1つある

日本が本格的な移民社会になるという意味で、見落とされている重大な「改正」が、実はもう1つある。それは、外国人留学生が日本の大学を卒業し、年収300万円以上で「日本語による円滑な意思疎通が必要な業務」に就く場合は、職種を問わず、期間も限定せず、「特定活動」という就労資格を認めるというものだ。

これが昨今の議論で見過ごされているのは、国会での議決を必要とする「法律」改正ではなく、法務大臣が定める「告示」を変更することだけで実現できるスキームを使っているからだ。これも極めて重大な影響を社会に与えるが、国民を交えての十分な議論がなされないまま、来年4月からの施行が予定されている。

本来であれば、冒頭の入管法改正については、この「告示改正」とセットで考えなければならない。臨時国会でも、両者について十分に議論した上で、あるべき外国人労働者政策を審議するべきだ。

次ページ「告示改正」の具体的な中身は?
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