鉄道会社がアリタリアに買収提案をした事情 フラッグキャリアが「旧国鉄」の傘下に?

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トリノ・ポルタヌオバ駅に停車する、イタリア鉄道の高速列車フレッチャロッサ。一部の列車は1000km近くあるトリノーナポリ間を直通する(筆者撮影)

長距離交通の担い手として、鉄道会社と航空会社は常にシェア争いを演じているが、その戦いに新たな局面をもたらす動きがイタリアで生まれようとしている。同国で長い歴史を持ちながら瀕死の状態にあるアリタリア航空に対し、イタリア鉄道(FS)が10月30日、買収提案を出したのだ。

これまでの経緯と、もし仮にFSがアリタリアを買収した場合、どんなことが起こりそうかを考察してみたい。

フラッグキャリアと旧国鉄

アリタリア航空は1947年に創業。日本へは1960年代に乗り入れを開始した。現在、日系2社はローマにもミラノにも乗り入れておらず、目下イタリアへ直行便で行くならアリタリア一択となる。

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そんな歴史ある航空会社だが、発足以来ほぼ毎年のように赤字を出し続け、過去数年の業績の悪化は著しい。2014年にはアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空が49%を出資したが、欧州委員会の規定で域外法人によるEU圏内の航空会社への過半数出資の禁止という条項があり、それを埋める出資者の獲得がつねに問題となっていた。

一方のFSはイタリアの旧国鉄で、旅客列車を運行するトレニタリア(Trenitalia)などを傘下に置く。1985年にそれまでの国営から公社化され、1992年に全株を国が保有する株式会社に、さらに2001年には持ち株会社に組織変更したが、依然として全株を政府が抱えている。

政府主導で救済策が進められているアリタリア航空。どんな形で決着がつくだろうか(筆者撮影)

2017年5月、アリタリアはとうとう破産を申請。それ以来、イタリア政府によるつなぎ融資を受けながら事業運営を続行する一方で身売り先を探している。本来は今年4月に決着をつけるという見通しも示されていたが、3月実施の総選挙の後、政権の空白状態が続いていたことも影響し、同社の行く末をどうするかの判断が先延ばしされていた。

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