ビジュアルやトレンドスポットにこだわるなど、若者から人気を得る要素をしっかりと押さえつつ、どの時代にもある若者のニーズをくみ取ったというわけです。
「オオカミくんには騙されない」のヒットをきっかけに、設定やターゲット層を変えた恋愛リアリティ番組を次々と打ち出し、見逃し視聴ができる「アベマTVビデオ」には「恋リア」枠に10本の恋愛リアリティ番組シリーズが並んでます。「規模拡大中。アベマTVのなかで恋愛リアリティショーの視聴者はまだまだ増え続けている」とのことです。
「商機」を逃さない商売センス
恋愛リアリティ番組の企画の中から生まれた、俳優・女優たちの共演をきっかけに恋は生まれるのかを追う「恋愛ドラマな恋がしたい」も人気を集めています。「オオカミくんには騙されない」よりも少し上のアラサー向け世代を狙い、キスシーン満載の作品です。じわじわと人気が上昇し、最終回の放送時(7月放送)にはアベマTV全体のトップ10ランキングにランクインしました。
そして商機も逃さないアベマTVは「恋愛ドラマな恋がしたい」の中国版制作について10月にフランス・カンヌで開催された世界最大級のテレビ見本市MIPCOM現地で発表しました。中国でリメイクされることが決まり、中国最大手のEコマース企業、アリババグループが運営するインターネット配信会社Youkuで配信を予定しています。
人口13億人の市場、中国でも今、若者の間でテレビ離れが進み、インターネット番組の人気は急上昇しています。いわゆる海賊版もいまだなお根強くはびこってはいますが、ここ数年で状況は変わり、正規ルートで流通している日本や欧米の番組が着実に増えています。今回の取引は、アベマTVをサイバーエージェントと共に運営するテレビ朝日が間に入って成立し、カンヌ現地の会場で大きく報じられていました。
テレ朝とキャスティングのやり方が違う
海外にも番組が売れたのは「パッケージとしての魅力が大きいから」と谷口氏は説明します。「今はまだ知名度が高くない役者だけが出演している番組であっても、パッケージとして成立させることによって、これから売れる女優や俳優を育てることができる番組であることが決め手になった」と言います。この人材発掘の役割こそ、アベマTVのなかで恋愛リアリティ番組を充実させていったことで得られた効果でしょう。
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