「電動自転車の充電OK」欧州の通勤列車に登場 乗客用のコンセント設置は当たり前の時代に

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通勤・近郊型車両と都市間急行用車両の垣根もなくなりつつある。かつては優等列車と近郊列車は完全に異なる車体や機器が用意されていたが、近年はもともと近郊用車両として設計された車両を優等列車に使用する事業が見られるようになってきているのだ。

ポーランド鉄道(PKP)でインターシティ用に使われる、スイス・シュタドラー製の車両「FLIRT160」。もともとは近郊用として設計された車種だ(筆者撮影)

さすがに高速列車の車体や機器を用いた近郊用列車は存在しないが、近郊用として設計された車両が長距離を走る優等列車に使われる例は見掛けるようになった。

日本でもかつては4ドアの通勤型と3ドアの近郊型が分けられていたが、近年は同じ形式を使用し、路線ごとに座席配置や編成を変えることで差別化を図る例が一般化している。だが、運行する距離を除けば類似した使用環境である通勤型と近郊型の共通化はさておき、本来はまったく使用環境の異なる優等列車に近郊型車両を使用するのは、日本的感覚ではいささか違和感を覚えるところだ。

長距離運行時の居住性は…?

運行会社のさまざまなニーズに応えるため、メーカー側も扉の数や位置、内装などに長距離運用向けのオプションを用意している。たとえば近郊用として使用される車両の場合、ヨーロッパでは通常、1車体につき片側2~3カ所のドアが設けられるが、1カ所のみ、もしくは編成の一部の車体にはドアを設けず、別の車両から出入りさせるような使い方をするところもある。

また、低床・連接式の近郊型車両の場合は、利用客が乗降しやすいようにデッキがないため、ドア開閉時にすき間風が入ったり静粛性に難があったりするが、優等列車用として使用する場合は、ドア付近に客室との間を隔てる仕切りを設けて対処している。ただし、実際に営業運転で使用されたとき、これでどの程度すき間風の防止や静粛性が保たれるものなのか、興味深いところだ。

最も注目を集める屋外展示に高速列車がないという不満の声が聞かれた2018年のイノトランスではあったが、その近郊型中心の展示車両から、今の利用者や事業者のニーズを読み解くというのは、ファッションの流行などとも似たようなもので、意外と面白いものなのである。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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