「電動自転車の充電OK」欧州の通勤列車に登場 乗客用のコンセント設置は当たり前の時代に

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また、これは近郊用車両に限った話ではないが、最近は電車と気動車、バッテリー駆動車の垣根がなくなりつつあるのも、1つの潮流と言える。

ポーランド・ネヴァグ社製の近郊型電車「インパルス2」(筆者撮影)
「インパルス2」の車内。車輪付近にスロープを設置し、段差をなくしたフルフラット構造が特徴となっている(筆者撮影)

たとえばポーランド・ネヴァグ社の近郊型電車インパルス2は、2016年に展示されていた前モデルに、新たにディーゼルエンジンを搭載できるというオプションが加わった。エンジンを搭載することで、従来のディーゼルカーなら電化区間であってもエンジンによって走行していたのを、電化区間では電力、非電化区間ではエンジンを使うことでエネルギーを効率的に使うことが可能となり、排気ガスを抑制することができる。

この車両の場合、エンジンの搭載方法は、エンジン付きディーゼルモジュールを連結するか、もしくは車体にディーゼルエンジンをそのまま搭載するかを選択できる。エンジン付き車両を挟むと無駄なスペースが増えて一見非効率的に見えるが、近年の低床式車両は床下のスペースが広くないため、非電化区間での運行時間が長い場合、燃料タンクの容量を増やしたエンジン搭載のための専用モジュールを別に用意できるというわけだ。

バッテリー駆動も普及の兆し

一方、バッテリー駆動の車両としては、シーメンスの「デジーロML シティジェット eco」が展示された。バッテリーそのものがまだ開発途上のため量産車両の展示はなかったが、同社が2年前に展示したオーストリア鉄道向けのデジーロML型にバッテリーを搭載したタイプで、今回は電気・バッテリー駆動両用として再展示された。

現車はオーストリア国内において試験運行がスタートしたばかりで、冬季の低温時にバッテリー性能が保たれるかなど、今後は年間を通じた実験でデータを収集していくとのことだ。この車両の具体的な量産開始時期などは明示されていないが、バッテリー駆動の車両は使用環境こそ異なるものの、日本ではJR東日本のEV-E301系ACCUMや、JR九州のBEC819系DENCHAなどですでに実用化されている。開発が進めば量産型がデビューする日もそう遠くはないだろう。

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