医学的に見て健康に良い食べ物はこの5つだ 食事に全く気を遣わない人に教えたい新常識

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また、それ以上に問題視すべきは、健康情報とマーケティングとの関係だ。「○○が健康によい」というような情報は商品の売り上げに大きな影響力を持つため、科学的根拠のない情報がマーケティングの一環として利用されてしまっているということである。これは、多くの人が少なからず感じていたことではないだろうか。

それどころか、食品に関する関連業界は関連省庁にロビイングをしているため、省庁が発表する「ガイドライン」すら歪められてしまっている可能性をも否定できないという。

高い健康意識を持っている人が、テレビや本の誤った情報を信じてしまうことで、その努力を無駄にしたり、不健康になったりしてしまうのだとしたら残念なことだ。そんな思いがあるからこそ、著者は本書を書いたのだ。

この本では、健康になるという観点において、現時点で最も「正解に近い」と考えられている食事を説明している。科学は毎日進歩しているので、数年後にはいくつかの新しい発見があるかもしれない。しかし、この本に書かれている内容は数多くの信頼できる研究結果にもとづいている。よって、ここで推奨されている内容が、近い将来、新しい研究結果によって大幅に変わるとは考えにくい。(13ページ「本書の読み方」より)

ここにこそ、本書の説得力がある。食事や健康についての議論は、個人の経験に基づくものになりやすい。しかし、その人にとって効果的だったからといって、必ずしも他の人にも効果がある(健康になれる)とは限らない。

一方、対照的なのがエビデンス(科学的根拠)に基づく健康情報だ。それらは圧倒的多数の人を対象にした客観的な研究から導き出されたものなので、一個人の経験談にくらべ、より健康的で長生きできる確率は格段に高くなるわけである。それが、「科学的根拠に基づいた」健康的な食事法を日常生活に取り入れるメリットだと著者は言う。

健康に生きていくために「本当に大切な」こと

だとすれば、ぜひとも正確な情報を知りたいところだが、この点について著者はシンプルな答えを明らかにしている。

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、①魚、②野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。逆に、健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。(28ページより)

ちなみに「茶色い炭水化物」とは、玄米、蕎麦(蕎麦粉の含有量が多くて小麦の割合が少ないもの)、全粒粉を使った茶色いパンなど、精製されていない炭水化物のこと。一方の「白い炭水化物」とは、白米、うどん、パスタ、小麦粉を使った白いパンなどの精製された炭水化物のことを意味するそうだ。

ただし、肉と白い炭水化物を控えるといっても、それらの量をただ減らしたのではお腹が空いてしまう。しかも数多くの行動科学の研究から、我慢させることは正しい戦略ではないということも明らかになってきているのだそうだ。事実、食事の量を減らしてもストレスになり、いずれは爆発して食べすぎてしまうことも十分に考えられるだろう。つまりはリバウンドと同じ現象だ。

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