2位は京都大学で、受入額は116億8900万円で、件数は2万7165件に達する。
そして、3位には受入額91億9300万円で、鹿児島大学が入った。鹿児島大学の場合、4位の大阪大学(73億3600万円)、5位の名古屋大学(57億6400万円)を上回る金額であり、大学の規模と比べても突出した金額だ。
鹿児島大学はここ数年15億円程度の寄付金を集めていたが、この年に京セラやKDDIの創業者である稲盛和夫氏が、自らの持つ京セラの株式100万株を鹿児島大学に寄付している。決算書には現物寄付という形で、76億2200万円が計上されている。今期の1株配当予想は120円なので、保有しているだけで、年間1億2000万円の運用益が見込めることになる。
同大学の工学部出身である稲盛氏は、かなり以前から、鹿児島大学を支援しており、2005年には稲盛氏と京セラの寄付によって、稲盛経営技術アカデミー(現・稲盛アカデミー)という教育研究施設を設置、人材育成に寄与している。
実業家が教育を支援する事例は、歴史的に見ても私立学校の創設など、今に始まった話ではない。しかし、この年の大学の決算にも、稲盛氏のように多額の寄付をする経営者の存在を垣間見ることができる。
ぐるなびの会長は東京工業大学に寄付
今年3月には、ぐるなびの滝久雄会長が、東京工業大学(12位)、お茶の水女子大学(28位)、東京藝術大学(44位)の3大学に、計50億円の寄付を行ったとの報道があった。なかでも母校である東京工業大学には、夫妻で30億円を寄付、大学はその資金で国際交流拠点となる「Hisao & Hiroko Taki Plaza」を、2020年完成予定で建設する。
6位は東北大学で50億6700万円、7位は九州大学で46億7100万円と、旧帝国大学が続く。九州大学の受入件数は、5万7905件と国立大学では最多で、件数の多くが図書や雑誌の受入れだという。九州大学では「古本募金」という、販売された書籍やCD、DVDなどを送ってもらい、それを市場に売却した収益を寄付金に充当する取り組みを行っている。こうした古本募金を行っている大学は、熊本大学(14位)や横浜国立大学(35位)など、多くの大学で実施している。
8位は筑波大学で受入額は32億8000万円。同大学では、自治体が行うふるさと納税と同じように、寄付金の額に応じて返礼品を贈る、「TSUKUBA FUTURESHIP PREMIUM」という贈呈品制度を実施している。たとえば、個人が1年に3万円以上の寄付を行えば、研究所でつくられた精米やサツマイモや大学関連商品が贈られる。現制度のプログラムは今年度で終了、来年度から新たな贈呈品の制度に移行するという。もちろん、税制優遇も受けられるため、寄付する側のメリットは大きいかもしれない。
以下、トップ10には9位北海道大学(32億4600万円)、10位神戸大学(30億6200万円)と続く。旧帝大を中心に、工学系学部のある規模の大きな大学に対し、より寄付金が集まっているのがわかる。一方、規模の小さい大学や文系だけの学部しかない大学は、少ない傾向にある。特に教育大学は1億円に満たない大学が相次いでおり、工学系の研究ほど多額の資金は必要ないかもしれないが、寄付金が増えれば、奨学金などの拡充も図れるはずだ。教育人材の育成のためにも、教育系大学にもう少し、寄付金が集ってもいいかもしれない。
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