JR西が「秘仏本尊大開帳」を機に狙う相乗効果 忍びの里・甲賀の古刹「櫟野寺」なんと読む?

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十一面観世音菩薩は像高が3mを超える(記者撮影)
「甲賀三大仏」のひとつ薬師如来坐像(記者撮影)

櫟野寺は平安仏の宝庫といわれ、宝物殿には本尊を含む20体の重要文化財が安置されている。「薬師如来坐像」は本尊に次いで大きく「甲賀三大仏」のひとつに数えられる。これらのほか「地蔵菩薩坐像」や「毘沙門天立像」、「観音菩薩立像」など、表情や大きさがそれぞれ異なって、どれも独特の存在感がある。

宝物殿に並ぶ仏像は2年前の2016年秋、東京への「出開帳」で多くの人の関心を引きつけた。本堂と宝物殿の改修を機に、上野の東京国立博物館で開催した特別展「平安の秘仏」(櫟野寺展)には、4カ月の期間中に21万人超が訪れるほどの盛況ぶりだった。

櫟野寺の三浦密照住職は、10月5日の報道関係者向け内覧会のあいさつで「これまで東京や大阪に仏様を預けていたが、今回のご開帳に合わせ、約80年ぶりにすべての重要文化財20体が当山にお帰りになり、一堂に拝んでいただける機会ができた」としみじみ語った。

JR西日本が力を入れる「歴史たび」とは?

「ちょこっと関西歴史たび」は、JR西日本が「歴史を知ると、散策がさらに楽しくなる」をテーマにして、2013年度の春から季節ごとに開催しているキャンペーン。京阪神エリアにある寺社や城など、歴史ある名所旧跡を1カ所取り上げ、集中的にPRするのが特色だ。開催地は誰もが知っている観光スポットから、全国的な知名度は低い古刹まで幅広い。

櫟野寺には20体もの平安仏が残されている(記者撮影)

6年間で取り上げた寺社のなかには、奈良の興福寺(2015年度夏季)や比叡山延暦寺(2017年度秋季)といったユネスコ世界文化遺産の大寺院がいくつも含まれる。2018年度は京都伏見(春季)、奈良高畑(夏季)のエリアを取り上げた。櫟野寺の次の冬季は、兵庫県明石市の明石城での開催を予定する。

毎回、約3カ月のキャンペーン期間中、普段なら見学することができない貴重な文化財が特別に公開される。学芸員や僧侶が解説をしてくれる講座や、ボランティアガイドが案内をする町歩きなどの関連した特別企画も実施することが多い。

JR西日本は期間中、北陸エリアから山陽新幹線の博多駅まで、広大な自社管内のほぼすべての有人駅に、開催地の名称を大きく書いたパンフレットを置き、構内にポスターを掲示。京阪神エリアでは電車内の中吊りや車内ビジョンの放映でひっきりなしにPRをする。その宣伝効果は絶大で、キャンペーンの舞台となる寺社にとって、この3カ月は知名度を上げるまたとない機会になる。

同社の三輪正稔執行役員京都支社長は「四季折々の自然や、歴史ある寺院を紹介することで地域の皆さんと一緒になって盛り上げていくことが基本だ。キャンペーン期間だけでなくたくさんの方に来ていただいて交流人口を拡大したい」と話す。

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