ホリエモンが、今どうしても伝えたいこと 堀江貴文氏インタビュー(上)

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――堀江さんはご両親に似たところがあるのでしょうか。

堀江:愛情表現がうまくないところはそうですね。

――お父さんとお母さんのどちらに似ていると思われますか。

堀江:母親のほうだと思います。自分を素直に出すことができないところとか。

――母親はかなり激高することも多いと書かれていましたけど。

堀江:僕はそんなに激高しないです。それは反面教師ですよ。

過去にとらわれず、未来におびえず、今を生きろ

――堀江さんが言いたくなかったエピソードを入れて読者に歩み寄ってまで、特に伝えたかったメッセージは何ですか。

堀江:「過去にとらわれず、未来におびえず、今を生きろ」ということです。

――多くの人はその逆に見えるということでしょうか。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家、ライブドア元代表取締役CEO、SNS株式会社ファウンダー
1972年福岡県八女市生まれ。東京大学中退。96年、有限会社オン・ザ・エッヂ設立。02年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。2006年1月に証券取引法違反で逮捕され、懲役2年6ヵ月の実刑判決が下る。2011年6月収監。2013年3月27日仮釈放。著書多数。

堀江:はい。過去にとらわれて、誰かに嫉妬や憎しみ、恨みの感情を持っていると、それは必ず自分に返ってきて、負のオーラが出てきてしまいます。人をうらやんでもいいのですが、そのエネルギーは「あの人のようになりたい」と思って頑張るというプラスの方向に行くべきでしょう。でも、そうでない人が多くて、「なんであいつだけ」と他人の足を引っ張ろうとする。

一方、未来のことを考えると、リスクばかり頭に浮かんで、おびえてしまう。20代の若者が「老後どうしよう」と心配していたりする。

「いきなりフルマラソンを走るのではなくて、まずは100メートル走から始めよう」と言いたい。それが小さな成功につながり、小さな成功の積み重ねが大きな成功につながっていく。これは僕がこれまで繰り返し言ってきたことです。

――人間的な部分をさらけ出したことで、より説得力が増していますね。

堀江:僕は、いい意味でも悪い意味でも、異世界の人間だと思われていた部分がありました。もちろん、僕も悩みはあるし、ルサンチマンの塊ですが、それをプラスのオーラに変えるように努力をしてきたのです。

人生ってマインドセットをちょっと変えるだけで、ものすごく豊かになります。それは難しいことでもなんでもないし、誰でもできることなのでやってほしいのですが、意外と誰もやっていない。それはやっぱり、未来を考えておびえているからでしょう。「起業してうまくいかなかったらどうしよう」とか。

編集ドリームチームに目からウロコ

――今回、100万人に希望を届けるような本を作るために、出版業界のカリスマ的存在であるケイクスの加藤貞顕さん、コルクの佐渡島庸平さん、星海社の柿内芳文さんというドリームチームを組んでいます。スター編集者の力を実感しましたか。

堀江:はい。信頼できる優秀な方たちで、どうすれば僕の思いや考えをしっかり届けられるか、一緒に何十時間も話し合いました。たとえば、オバマ大統領の伝え方も参考にしたのですが、オバマ大統領はいかにして米国国民に語りかけたのかを、彼らは僕に理論立てて説明してくれました。「MeとWeとNow」、つまり、「私、私たち、そして今」という構成で語りかけたんだと。

バラク・オバマという人は、表面的に見るとスーパーエリートですよね。家はお金持ちで、高等教育を受けて、上院議員で、まあ見た目もよくて、非の打ちどころのない人間に見えるのですが、国民にそう見えてしまったら共感を呼べない。そこで、何ら特別な人間ではなくて、マイノリティ出身で、いろいろな苦労もして、ここまで上り詰めたんだ。みんなと同じ米国国民であり、そして今、米国は何をすべきかを訴えたわけです。

僕も表面的に見れば、進学校を出て、東京大学に入って、在学中に会社を始めて、うまくいって上場して、転落した人という、パブリックイメージはそんな感じでしょう。僕を揶揄する言葉って、たぶん「デブ」ぐらいしかなくて。

――もうデブでもないですね。

堀江:今はたぶん「前科者」と言われるぐらいしかない。でも、それだとやっぱり伝わらない。

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