韓国のeスポーツ施設が桁外れといえるワケ 一つのゲームのための専用施設が誕生

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12年計画とはいえ、100億円を超えるプロジェクトなので、ビルの一角を借りることだけでなく、新たに『LoL』専用の建物を建てることも考えていたと言います。ほかにも立地条件や法律の問題、スペースなどを考慮した結果、この場所にオープンすることになったそうです。

12年での契約も異例の契約で通常は5年単位での更新になることが多く、ビルのオーナーも驚きを隠せなかったとのこと。破格の契約に至ったのは、やはりファンへの配慮で、長年続けることを公言することで、すぐに撤退してしまうのではないかという懸念を払拭し、安心感を与えるため。

採算よりもファンへの還元

また、ビジネス街であるチョンガクを選んだのも、ビジネス街の殺伐とした世界に違う空気を送り込みたかったのと、若者が集まる街が近隣にあり、そこへ遊びに行く前の拠点として使ってもらいたかったという意図があったとのことです。

「採算のことを考えてしまうと、ソウルに建設することはありえなかったと思います。建設する場所は都市部から郊外までいろいろ検討し、それこそ、建物から建ててしまうことも考えました。でも、スペースの問題や法律の問題、アクセスのよさなど総合的に加味した結果、ソウルのチョンガクを選びました。」(ヨン氏)。

これだけの施設ながら、今後の用途は未定。今はWorlds2018の稼働のみに注力しており、今後のことは順次考えると言います。

「LCKアリーナは、『LoL』の試合を考えて作られていますが、ほかのタイトルをプレイすることも考えています。貸し出しについても検討していますが、これも未定です。ゆくゆくはサードパーティにも貸し出していきたいですね。試合のない日には、アリーナの内部を見学できるツアーなどもできるとよいかもしれません。

LoLパーク内のライアットゲームズ公式ショップ「RIOT STORE」(筆者撮影)

PCバンは近日24時間年中無休でのオープンができるように動いています。カフェもWorlds2018ではライアットとケータリング会社によって運営されていますが、オペレーション先を探して、1月に本格オープンすることを考えています」(ヨン氏)

ライアットゲームズは各拠点の会社によってそれぞれの企画、運営を行っているものの、韓国のLoLパークの結果次第では、ほかの国や地域でも展開する可能性はあります。

そう、日本にもLoLパークができるかもしれません。他の地域で展開するLoLパークが、韓国のものと同じ理念で、収益を重視しておらず、ブランディングも二の次としており、ファンへの還元、ファンの聖地となることを第一に置いているのであれば、日本に展開されるかは『LoL』人口の増加、『LoL』への熱量の高さが上がることが条件と言えるでしょう。無粋な言い方をすれば100億円に見合う愛を日本のユーザーが持っているかどうかなのでしょう。

また、今回ヨン氏に話を聞いてみて感じたのは、この「ファンへの還元」のファンに当たるのは、『LoL』ないしライアットゲームズのファンのみならず、ゲームを愛するすべての人へ向けられていると言うことを感じました。言い換えれば社会貢献と言えるのかもしれません。

岡安 学 デジタルライター

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おかやす まなぶ / Manabu Okayasu

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、ウェブや雑誌、ムックなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas

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