韓国のeスポーツ施設が桁外れといえるワケ 一つのゲームのための専用施設が誕生

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このLoLパークは、『リーグ・オブ・レジェンド』の開発・運営をしているライアットゲームズの韓国を拠点とするライアットゲームズ コリアが担当をしています。今後12年使用する計画で設計されており、建設、機材リース、人件費などの総支出は100億円を超えます。つまり年に換算すると約8億円以上がかかることになります。球場使用問題で揺れた北海道日本ハムファイターズが札幌ドームに支払っている球場使用料が約9億円と言われており、それと比較すればいかに巨額の投資をeスポーツ施設に行っているかがわかります。

ライアットゲームズ コリアの広報担当マーク・ヨン氏(筆者撮影)

今回、ライアットゲームズ コリア広報担当のマーク・ヨン氏に話を伺うことができたので、LoLパークを作った目的や役割について聞いてきました。

「LoLパークは、ある意味実験的な意味合いもあり、ビジネスとは離れた存在です。パーク内にのカフェやPCバン、公式ショップなどでは売り上げを見込んではいますが、これらで収益を上げるにはあまりにも投資額が大きすぎます。LCKアリーナにしてみても、今後どのように使用していくかも未定な部分が多く、興行やレンタルなどで収益を図っていくという可能性はあるものの、確定はできません」(ヨン氏)

『LoL』のファンが集う場を作りたかった

eスポーツが進んでいると言われている韓国でも、すべての人からゲームが認められているわけではなく、ゲームに無理解な人も多くいます。ゲームファンが集まり、安心して楽しめる場所としての存在が必要だったわけです。

『LoL』やライアットゲームズの知名度を上げるための施策、ブランディングやプロモーションとしても考えられますが、ヨン氏はそれも否定しています。

「LoLパークは、ビルの外にはLoLパークの看板がひとつ掲げられているだけで、それ以外の看板などはありません。LoLパークの看板にしても『LoL』を知らない人にとっては、何かわからないわけです。会場にもライアットゲームズや『LoL』のロゴなどはほとんどありません。公式ショップでは公式グッズが売っていますが、その程度です。あくまでも『LoL』のファンが集まれる場を作りたかったんです」(ヨン氏)

LoLパークのメイン施設となるLCKアリーナ。『LoL』をはじめ、さまざまなeスポーツイベントを開催できるアリーナです(筆者撮影)
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