波乱の10月相場後に何が待ち受けているのか そろそろ相場は下げ止まるかもしれない

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今回はどうか。10月24日の日経平均株価はザラ場ベース安値2万1911円まで下げ、200日線からのかい離がマイナス2.5%に達していたが、大引けは2万2091円と下げ幅を縮小した。また、調整期間は200日線をいったん下回った10月15日から10月24日までカウントすると、すでに8日間経過している。テクニカル面から過去3回と照らし合わせると、今回もかい離率の度合いや調整日数の進ちょくから底入れのタイミングが近づいているとの見方もできよう。

アベノミクスでの11月相場は「5戦全勝」

アメリカでは金利上昇にともなう株安、欧州では英国のEUからの「無秩序離脱」による経済の先行き懸念、中国では経済成長の減速と、世界的にリスクオフモードが加速している。だが前述のように、テクニカル面からみれば、今年3月の底入れ局面に似た部分もうかがえる。また足元では国内企業の中間決算が発表され、内容は懸念されたほどは悪くない。仮に海外の懸念材料がアク抜けした場合、日本株に業績面から見直し買いが入れば、反発力は意外と大きいようにも思われる。

もうひとつ、忘れていけないのが「ハロウィン効果」というアノマリーだ。「10月末に買い、翌年の春に売る」と、日米株ともにリターンが上がりやすいとされている。ちなみに、1990年以降(過去28年間)の11月の日本での相場を調べてみると「20勝8敗」と堅調だ。特に2013年以降、いわゆるアベノミクス相場での11月相場は5年連続高と無敗だ。

「Trick or Treat」……。ハロウィンで使われる有名なセリフではないが、ここは目先のトリッキーな下げに振り回されて、腰が引けないようにしたいところだ。世間が「仮装」を楽しんでいる間に、今年も日本株は年末高に向けて「助走」が始まり出すのかもしれない。

最後に今後の日経平均株価のテクニカル上の重要な価格をあげておく。
(10月24日時点)
2万4270円 2018年10月高値(年初来高値)
2万3309円 25日線(短期線)
2万2774円 75日線(中期線)
2万2764円 2017年末値
2万2528円 52週線(長期線)
2万2491円 200日線(長期線)
2万2091円 2018年10月24日終値
2万2041円 200日線-2%(2018年の安値ゾーン)
2万1857円 2018年8月安値(トルコリラ急落)
2万1816円 200日線-3%(2018年の安値ゾーン)
2万1546円 2018年7月安値(貿易摩擦再燃)
2万0617円 2018年3月安値(年初来安値)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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