ホンダ「5代目オデッセイ」発売5年後の通信簿 14センチ車高を上げたミニバン先駆者の現在

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さて、5代目オデッセイの評価である。5代目は、再び車高を高くし、ミニバン本来の居住性を復活させた。また、家族のクルマとして人気を保持する他社のミニバンや、軽自動車のトールワゴンで好まれるスライドドアを後席側に採用した。ようやく、消費者の求めるミニバンの基本的価値を持つに至ったのである。その成果は、さっそく販売台数に現れた。

オデッセイの復活

2013年の発売後、日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によれば2014年には3万2000台を超える実績をあげ、乗用車ブランド通称名別新車販売ランキングの24位につけた。この時点で、トヨタのエスティマを抜いている。

翌15年には、エスティマ(35位、1万7193台)に僅差で敗れる36位、1万5834台だったが、2016年には待望のハイブリッド車が追加され、エスティマを1万台ほど上回る3万0858台で25位。エスティマは2万0336台で31位であった。

オデッセイの人気は根強い

その後もエスティマを上回り、今年の状況を見ると、7月以降エスティマがベスト50落ちをしているにもかかわらず、オデッセイは9月の単月で42位、1432台であり、1~6月の半年間の集計では9216台で38位と、30位台を保持している。オデッセイ人気は根強いと伺える。

オデッセイやエスティマの競合だった日産自動車の「プレサージュ」が廃止され、5ナンバーミニバンの日産「セレナ」やトヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、ホンダ「ステップワゴン」と、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」や日産「エルグランド」の中間となるミニバンは、オデッセイとエスティマのみとなった。

そこには年間3万~5万台ほどの顧客がいるのである。消費者が待望したミニバンらしいミニバンとして5代目オデッセイは復活したといえる。

あわせて、販売台数が落ちはじめたところでハイブリッド車の投入により盛り返したように、環境性能はミニバンにとって欠かせない価値の1つとなっている。上級ミニバンは別として、ノア/ヴォクシーにはハイブリッド車があり、セレナにもハイブリッドの「e‐Power」が加わると販売台数を大きく伸ばした経緯がある。

オデッセイへのハイブリッド車追加がエスティマに遅れること15年というのは、いかにも市場の見誤りだったといえる。とはいえ、ハイブリッド車を加えた5代目オデッセイは、エスティマを上回る実績で今日に至る。

消費者の求めるミニバンらしいミニバンに

5代目オデッセイは、乗るとやはり快適で運転しやすいミニバンであることに変わりはない。その感触は、初代オデッセイに通じるところがある。オデッセイの名は、まだ死んでいないことを知る。SUVブームとはいえ、4ドアセダンもミニバンも、またステーションワゴンも、それらを愛する顧客は居続けている。ホンダのみならず、日本の自動車メーカーはそうした既納客の存在を大切にした商品企画を進めてもらいたいと、オデッセイの復活を見て改めて思うのである。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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