台湾脱線「ギリギリのダイヤ」で走っていた? 日系企業、今後の入札に影響受けるおそれも
2018年10月21日16時50分、台湾東部宜蘭県蘇澳鎮の台湾鉄路管理局(台鉄) 宜蘭線新馬駅構内で、樹林発台東行き特急列車「普悠瑪(ぷゆま)号」が脱線し、一部車両が本来の線路から大きく外側にはみ出すかたちで横転した。
当区間は俗に東部幹線と呼ばれる区間で、台湾の最大都市・台北と東海岸の主要都市である花蓮、そして台東を結ぶ特急列車が多数設定されている区間である。
近年では輸送力増強とスピードアップ、また花蓮―台東間の電化開業に備えるため、日立製作所が製造した制御振り子式のTEMU1000型やJR東海の子会社・日本車両製造(日車)が製造した空気ばねによる車体傾斜式のTEMU2000型といった特急型電車を相次いで導入しており、前者には「太魯閣(たろこ)号」、後者には普悠瑪号の愛称が与えられている。今回の事故を起こしたのはTEMU2000型である。日車が2012年から2015年にかけ152両を製造している。
現地報道を見る限り、前方の6両(8号車~3号車)が横転するか、大きく線路から外れている。特に7号車は現地メディアによれば、線路から30m離れた場所に飛んでいるとのことだ。そのため、先頭寄りの8,7,6号車で多くの死傷者が出ている、台鉄の発表によると乗客は計366人で、うち18人の死亡が確認されたほか、168人が重軽傷を負っている。亡くなった方のご冥福をお祈りしたい。
時速85kmでカーブ通過可能だが・・・
事故原因については情報が錯綜しており、公式見解を待ちたいところだが、現場は半径約300mのカーブ上に位置しており、何らかの要因により車両がカーブ外側に飛び出したというのは確実である。車体傾斜、振り子というどちらの形式も車体を傾けることでカーブでの速度向上を狙ったもので、当該区間は時速65kmの速度制限箇所だが、これらの機能を備えた特急電車は時速85kmで通過が可能だ。
太魯閣号・普悠瑪号ともに、高速鉄道のない、台湾東部の町の交通アクセス向上に大きく貢献しており、非常に高い需要を誇っている。脱線当該列車も、日曜日の夕方の列車ということもあり、ほぼ満席の状態であったことがうかがえる。
これらの特急列車は台北―花蓮間約170kmを最速2時間程度で結ぶ。また、2014年に花蓮―台東間の約150kmが電化され、同区間の所要時間は最速1時間半程度で結ばれることになった。現在、台北―台東間では従来と比べて90分近いスピードアップを実現している。
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