「雑な暗殺」疑惑に騒然、サウジ皇太子の末路

週末に事態は急展開の可能性

具体的な情報がサウジ側から出てこないことにいら立つトランプ大統領は急きょ、ポンペオ国務長官をサウジに派遣し、長官はサルマン国王やムハンマド皇太子と会談した。ポンペオ長官はトルコも訪れており、帰国後にトランプ大統領に会談内容を報告。トランプ氏は「(真相は)週末までに恐らくわかる」と述べており、メディア報道が中心で疑惑のままにとどまる事件は進展を見せそうだ。

ただ、カショギ氏が総領事館内で殺害されたことはほぼ確実視され、ムハンマド皇太子がそれに深く関わっていることも否定しにくくなっている。サウジ側がカショギ氏の殺害を認めれば話は変わるが、最終的にカギを握っているのはトルコ政府だ。

今回の「勝者」はトルコ?

トルコ当局は具体的な発表を巧みに回避し、政府系のメディアや海外メディアに情報をリークし、カショギ氏が総領事館内で無慈悲に殺害されたという事件の構図を浮かび上がらせた。当局は、殺害時の音声のほか、総領事館や公邸の捜索で得た決定的証拠を持っているとみられ、そうした証拠を公開するか、アメリカ政府に伝えるかが事態の行方を左右することになる。

総領事館内での暗殺という前代未聞の試練に立たされたトルコは、中東の反体制派に活動の場を与えてきた手前、看過できない事態だった。トルコ当局は、証拠を公開せずにメディアへのリークを通じ、真綿で首を絞めるようにサウジを追い詰めている。そこには、水面下での外交交渉の余地を残し、トルコにとって有利な取引を行うという狙いがありそうだ。

トルコは今回の騒動に紛れて、トランプ大統領の強い解放要求を拒んで拘束していたアメリカ人牧師アンドルー・ブランソン氏を12日に釈放。中間選挙を前に支持基盤のキリスト教福音派を喜ばせたいトランプ氏にまたとないプレゼントを贈り、サウジ問題でのアメリカの協力を取り付けた。牧師拘束問題は、米トルコ間で制裁合戦に発展し、トルコの通貨リラの急落に拍車をかけたが、制裁は解除される見通しだ。

中東で敵対するトルコにカショギ氏殺害の証拠を握られた形のサウジに対しても、トルコは当局発表として具体的な証拠を示さないことで、サウジとの外交関係が決定的に決裂するのを回避した。ただ、国際社会はメディア報道を通じて、ムハンマド皇太子が関与する形でカショギ氏が惨殺されたと認識しており、サウジで23日から3日間の予定で開催される経済会議「フューチャー・ インベストメント・イニシアチブ(FII)」への出席取りやめが経済界を中心に相次いでいる。

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