通常は成田空港発新宿行きの成田エクスプレス(NEX)8号を土休日に限って富士急行線の河口湖まで延長。大胆な運行区間設定だと話題になった。もっぱら訪日観光客をターゲットにした列車なので、時期により利用客数は多かったり少なかったりとのことだ。空港第2ビル駅を発車すると東京駅までノンストップなので、千葉県内在住者には縁がないけれど、東京、渋谷とこまめに停車するので、このあたりから河口湖を目指す人には重宝しそうだ。
もっとも全車指定席、割高なA特急料金適用なので、新宿―大月間に限っても「かいじ」より高い特急料金を支払わなければならず、敬遠する人もいるであろう。
千葉始発の「あずさ」「かいじ」は、秋葉原に停車しないのであれば、このNEXのルートに変更すれば、ネックとなる総武緩行線を経由しないで済む。かように工夫して増発を望みたいところだ。
続いては中部地方の特急
飯田線を走る数少ない特急列車で1日2往復。そのうち1本は、豊橋発18時20分と遅く、もっぱらビジネス利用相手なので、観光客向けの列車は実質1日下り1本、上り2本である。それも全列車豊橋―飯田間の運転。一方、飯田線北部の飯田―辰野間は普通列車で2時間以上かかるので、この区間でも特急を運転してほしいものだ。
利用客が少ないので、実現は無理そうだが、仮に岡谷で「あずさ」から飯田線の特急に乗り継げるようなダイヤが設定できれば、都心から飯田市へ向かう選択肢が高速バス以外にも増えるだろう。そんな妄想よりも、リニア新幹線が開通すれば飯田市内へのアクセスが飛躍的に向上しそうで、それまでは現状に耐えなければならないのかもしれない。
現行の「伊那路」も飯田線の線形や駅構内の配線が高速運転には適しておらず、鈍足特急である。飯田線の魅力的な車窓を楽しむにはいいのかもしれないけれど、決して快適とは言いがたい残念な特急列車である。
名古屋から岐阜を経由して高山、富山方面へ向かう「ワイドビューひだ」の中で異色なのが大阪発着の列車である。
少し前までは、中央西線を走る「ワイドビューしなの」にも大阪始発が存在したけれど廃止になってしまった。現状では、JR東海の特急列車で大阪に乗り入れる唯一のものとなっている。
岐阜ではいったんホームから離れて待機し、名古屋からやってくる「ワイドビューひだ」と連結されて高山方面を目指す。大阪発はわずか3両、それくらいの需要なのであろう。
東海道本線の京都―米原間を明るい時間帯に走る特急列車は貴重な存在なので乗る価値はある。外国人観光客にとっても、人気の高山へ乗り換えなしに京阪神地区から直行できるメリットは計り知れない。末永く走ってほしい列車のひとつだ。
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