北陸新幹線金沢開業とともに、在来線特急が大幅に整理された。有名温泉地のお膝元である和倉温泉駅に関しても同様だ。
それまでは、大阪から金沢を経由して七尾線の和倉温泉まで行く特急「サンダーバード」が4往復、越後湯沢からの「はくたか」1往復、名古屋からの「しらさぎ」1往復と計6往復の特急列車が和倉温泉に発着していたのだが、「能登かがり火」という金沢―和倉温泉を結ぶローカルなシャトル特急列車5往復が主役になってしまった。
しかし、これ以外に大阪発の「サンダーバード」が1往復残り、気を吐いている。やはり、旅慣れない人や高齢者にとって乗り換えなしの直通列車はありがたい。当初は全廃予定だったようだが、地元の要請もあり1往復とはいえ、残ったのはうれしい話だ。大阪駅で和倉温泉行きという表示が出るのは和倉温泉にとって宣伝にもなる。これまた安易に廃止しないでもらいたい列車である。
時間はかかるが景色を楽しめる
京都と大阪から丹後エリアへ向かう列車は複雑な経路を走る。その中で、迂回しながら最長距離を走るのが京都発「はしだて5号」豊岡行きである。
まずは山陰本線を走り福知山から京都丹後鉄道宮福線に乗り入れ宮津まで行く。ここで進行方向が逆になり天橋立に向かう。多くの特急列車は、天橋立が終点だが、5号はさらにローカル色豊かな宮津線を淡々と進む。
久美浜からは、列車の種別が快速列車と格下げになるものの車両は直通で山陰本線とのジャンクションである豊岡に至る。3時間9分の旅は、長いけれど、変化に富んで退屈はしない。かつては、豊岡から城崎温泉まで山陰本線に再び乗入れる列車もあったけれど、さすがに今はない。
「丹後の海」と呼ばれる水戸岡鋭治氏がデザインしてリニューアルされた京都丹後鉄道のディーゼルカーで運転されるのも興味深い。
「SLやまぐち号」運転で知られる山口線と山陰本線を直通する特急列車。3往復のうち新山口行きの3号と5号、新山口発の4号は新山口と鳥取を結び、他の列車は新山口―米子間の運転である。
全区間走破すれば5時間を超える長距離列車となるが、通しで乗車する人はそれほどいない。新山口―津和野、津和野―米子、米子―鳥取といった区間乗車が主流だ。指定席車と自由席車が1両ずつの2両編成で繁忙期には3両編成となる。
重要なルートを走るものの、時期によっては、指定席は空いていて、ローカル特急の感が強い。懸命に走っているので応援したい列車である。
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