脱常識!江戸川区のすごい「学童保育」 「つまらない」「入れない」の常識を覆す

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子どもたちは成長するにつれて、たとえば小学校・中学校などの入学時や成人式などの節目に、保育ママさんにあいさつに行くようです。保育ママとしての保育期間を終えても、いわば「育ての親」として、保育ママと子どもたちのお付き合いが、ずっと続きます。また、子どもを預ける両親にとっても、保育経験のある保育ママが、親代わりや相談相手となってくれるため、いい勉強になるのです。

――そもそも江戸川区はなぜ、若い夫婦が多いのでしょうか。

ひとつは、「交通の便利がよいところだから」だと思います。車でも電車でも15分ぐらいで都心へ移動できるので、会社勤務をされている若い世帯が引っ越して来やすいのでしょう。住宅費が都心に比べて安いことも、大きな理由だと言えますね。

また、自然環境にも恵まれています。荒川と江戸川という大きな川が流れ、海があることもあり、45年前から公園作りなどの緑化対策をせっせとやってきました。そのかいあって、自然公園の総面積は23区でいちばんです。区内の木の数も45年前は120万本(区民1人当たり2.5本)でしたが、今は600万本(区民1人当たり9.2本)まで増えました。

子どもと高齢者を支える意味

――区の今後の課題については、どのようにお考えですか。

子どもの数は多いのですが、その伸びが止まってしまいました。9年ほど前から、子どもの人口と高齢者の人口が逆転し、30歳代だった区民の平均年齢が40歳に突入してしまっています。

少子・高齢化の時代を迎え、今後はその対策が課題であることは間違いないでしょう。区民が力を発揮していただけるのか、自発的な取り組みを続けてくださるのかなどがポイントで、そのためには区としても「仕掛け」を続けないといけません。

少子・高齢化対策を解決する力は、高齢者も持っています。江戸川区は健康の問題をそうとう早くから手掛けてきました。シルバーセンター(高齢者の雇用支援事業)を全国に先駆けて立ち上げたことをはじめ、「くすのきカルチャー教室」「くすのきクラブ」の活動、「リズム運動」など、さまざまな取り組みを実施してきました。その成果として、お年寄り1人が負担する医療費は23区で最も低い。介護保険第1号被保険者認定率は、現在14%ぐらい。高い地域だと、20%ぐらいあるのではないでしょうか。江戸川区は元気なお年寄りが多い、ということです。

「なぜ、子どもと高齢者向けの取り組みだけなのか」という、(批判的な)区民の声もあります。ただ、私はこう言うのです。子育てと高齢者にしっかりと向き合えば、真ん中の人=働く世帯の方が(子どもと高齢者の問題で悩まずに)安心して働けることにつながるのですよ、と。

支える世代、支えられる世代、それぞれが持っている力を発揮し、それがまとまるとそうとうな力になります。地域社会を支えるのは制度やシステムよりも、住民の力なのです。

(撮影:大澤誠)

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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