「かつや」のカツ丼が圧倒的に支持されるワケ 低価格とんかつを提供できるカラクリと課題

拡大
縮小

持ち帰りの実験店開設 新業態も育成中

今年7月には東京・北区の商店街に実験店を開業し、持ち帰り専用窓口を設けた。通常の店舗では30〜35%の持ち帰り比率が、同店では50〜60%で推移している。実験店の好調を受け、持ち帰り専用窓口を増やすことも検討中だ。

持ち帰りに力を入れる背景には、既存店売上高の伸び悩みがある。足元では5月から8月まで4カ月連続で前年割れ。これは月次売上高を公表し始めた2008年以降初めてだ。成長市場である中食の需要も取り込むことで、既存店のテコ入れを図る。

また同社は第2の柱として空揚げ店「からやま」を育成する。国内のからやま店舗数は郊外を中心に43(2018年6月末時点)。かつやと比較してまだ少ないが、2018年上期(1〜6月)の国内出店は11店と、かつやを上回る勢いだ。今年8月には、たこ焼き店「築地銀だこ」を展開するホットランドとの合弁で米国・ロサンゼルスにからやまを開業した。台湾やタイなど進出済みのエリアに加え、巨大市場である北米を攻める構えだ。

そのほか、2017年7月にカレー店「camp」を展開するバックパッカーズを買収した。新業態の育成に成功すれば、同社の成長は一段と確かなものになる。

『週刊東洋経済』10月20日号(10月15日発売)の特集は「絶好調企業の秘密」です。
佐々木 亮祐 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT