新幹線「子連れ専用車両」はなぜ生まれたのか 年末帰省「騒ぐと周りに迷惑が…」の心配無用

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――利用者が増えている割には、一般的に知れ渡っていない感じがするが?

「確かに、利用されるお客様の中にはリピーターの方が多いので……。ネットのママ向けメディアとのタイアップを行うなど、みなさんにサービスを知ってもらえるよう動いてはいるのですが、お客様の声をうかがうと『初めて知った』とか『もっと早くから知っておきたかった』という声が多いですね……」

――車内の雰囲気は?

子どもたちを車内で飽きさせない工夫も(写真:JR東海)

「お子様たちは楽しく遊んで、親御さんは荷物を置くための座席に大きな荷物を置いて、のんびり過ごされていますね。車内には専属の添乗員も乗車していて、お子様にトイレを案内したり、荷物を置くアシストをしたり、記念撮影のお手伝いをしております」

――混雑する時期に、荷物を置くスペースとして座席を1席分使用する「ファミリー車両」をたくさん運行させて大丈夫なのか?

「運転本数は、輸送計画を担当する部署と調整、前年の同時期、同時間帯の列車の乗車率などのデータをもとに決めています」

――「ひかり号」や「こだま号」にも「ファミリー車両」を導入する計画は?

「以前『こだま号』にも設定したことがありましたが、東京―名古屋・京都・新大阪など、『ファミリー車両』を利用する方のほとんどが、長距離を利用する方でしたので、現在は『のぞみ号』のみの運行となっております」

――「ファミリー車両」以外に「専用車両」の運行計画はないのか? 19時以降に東京や新大阪を出発する「のぞみ号」に、酒を飲んで少々騒いでも大丈夫な「ほろよい車両」を運行するとか。

「その時間帯の『のぞみ号』は、指定席、自由席とも乗車率が大変高くなっておりますので、専用車両を設定するのは難しいのが現状です……」

あればうれしい「豚まん車両」

最近は、豚まんやたこ焼きなど、食べ物のにおいが問題となっている新幹線。「ほろよい車両」が難しいのであれば、気兼ねなく飲食できる車両を設定したら人気が出るのではないだろうか。

また、1両だけならば、東京発の「のぞみ号」に、添乗員が引っ叩いてでも起こしてくれる「どんなに熟睡していても、名古屋で絶対降りられる車両」を走らせても需要があるのではないだろうか。

「ファミリー車両」が一般的に知れ渡り、JR東海の大人気列車となったら、ぜひ検討していただきたい。

この冬の年末年始は「ファミリー車両」を96本の新幹線に設定した。12月14日~2019年1月7日の25日間に1日上下各1~3本ある。特に12月28日~2019年1月6日は50本設け、前年より5本増やした。小さな子どもを連れての帰省を予定する方は、ファミリー車両の利用を選択肢に入れてみてはどうだろうか。

渡辺 雅史 時刻表探検家

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わたなべ まさし / Masashi Watanabe

1975年生まれ。フリーライターとして、週刊誌や月刊誌で記事を執筆するほか、テレビやラジオ番組の構成にも携わる。2009年、国内の鉄道に完乗。時刻表の誌面に載っている"変な列車"や"味のある列車"を探すことをライフワークとしている。

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