東京発、「目からウロコ」のユニーク防災展 ポンプ不要のマットから避難誘導アプリまで

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「今回の展示会で得られた意見を踏まえてさらに技術を磨き上げ、今秋にも市場投入したい」と同社の飯田勝洋社長は意気込む。

センサーが取得した水位や雨量などのデータをクラウド上に収集し、一覧で見ることができるシステムを開発したのが、情報システム開発のアイサーク(東京・台東区)だ。同社の未然災害予防システム「サキモリ」は、特定小電力無線を使用しており、携帯電話のつながらない山間部でも水位や雨量を測定できる。栃木県大田原市内で実際に設置され、河川の水位や土壌の水分、雨量などをモニターしている。

センサーが取得した水位や雨量などの情報を一覧できるアイサークの「サキモリ」(記者撮影)

月明かり程度の明るさでも鮮明に画像を映し出せるクラウド型の防災監視カメラシステムは、イートラスト(東京・台東区)が開発した。「(これを使えば)自治体の職員は真夜中に現地に行かなくても河川の増水の状況を確認できる。新潟県長岡市や埼玉県戸田市で導入されている」(衣川優子・企画・広報室室長)という。

携帯電話が通じなくても、避難場所に誘導してくれるスマホアプリを開発したのがソフト開発のエム・ソフト(東京・台東区)。観光地めぐりのアプリ「かんぷら」に防災機能を搭載し、土砂で埋もれた際には最大音量でホイッスルを鳴らす機能も備えた。「こうした防災機能を備えた観光アプリはほかになく、差別化材料にしたい」(宮本淳生・新事業推進部営業担当部長)。

職人のノウハウを「見える化」

トンネルや橋の異常を感知する打音検査でも、画期的な技術開発の成果が見られる。アイ・ティ・エンジニアリング(東京・大田区)は、「可搬式自動打音検査システム」を開発した。専用の装置が検知したデータを、タブレット端末で撮影した画像とひも付けることでデータベースを簡単に作ることができる。職人のノウハウを見える化した取り組みだ。

「従来想定していたトンネルなどの分野のほかに、マンション修繕工事の検査でも活用できる」(三村直之・取締役技術サービス部部長)

シェルターの開発も進んでいる。日本耐震設計(東京・中央区)は、約20人を収容できる大規模なシェルターの開発にこぎ着けた。頑丈なステンレス製で、「公園や工場の空きスペースなどに設置し、一時避難に活用してもらいたい」(野口明洋代表)。

こうしたユニークな防災製品を集めた「危機管理産業展2018」は12日まで、都内の東京ビッグサイトで開催されている。未来の防災のあり方を考える、いい機会になりそうだ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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