これまで小中学校の事務職員は基本的に学校全体でたった1人の配置だ。文部科学省は、従来教員がやってきた授業の準備や配布物の印刷などの事務作業を代行する「スクール・サポート・スタッフ」を全国の公立小中学校に配置する方針を決め、今年度から実施をしている。こうした国全体の姿勢で、今後変わっていくことを期待する。
PTA、授業参観で有休が足りない
小学生の親たちの中でもとりわけ共働き家庭を特に苦しめるのは、親が駆り出される学校関連の活動が平日昼間にしょっちゅう行われることだ。
PTAについての現状や歴史的経緯は黒川祥子『PTA不要論』、岩竹美加子『PTAという国家装置』などに詳しい。学校により温度差はあるようだが、これらの書籍からは、おそらくときに怒りに震えながら、非効率で強制的な「苦行」をしなければならなかった理不尽が綴られている。
背景には、主に母親の労働力を基本的に「無料」として扱ってきた
実はアメリカの教育社会学の文献を読んだり筆者自身がシンガポールでインターナショナル校に子どもを通わせたりするなかで、親が度々学校を訪れ、ときにボランティア活動をするのは日本だけではない……どころか、日本よりも高頻度であるように感じる。ただし、他国では通常「任意」であり、ボランティアはできる人がすればいいという姿勢で、親たちはそれを平等に負担することを求めない。
たとえば、著者の息子が通う学校では、もうすぐPTA的な親の組
学校の仕組みだけが問題なのではない。学校の活動に参加したいと思っても参加しにくいのは、日本の職場状況にも起因する。シンガポールに住んでみて、もう1点日本と大きく異なると感じるのが職場での「子ども関連行事」に対する見方だ。もちろん職種などによるが、いわゆる会社員において、父親であれ母親であれ子どもの学校の行事などに参加するために仕事を休むのは「普通」だ。
これに対し、日本の職場で小学生ママたちがかけられる言葉は、「もう小学生になったから、仕事に全力かけられるよね」「いつまでママキャラでいるつもりなの?」といったもの。小学生の子どもを持つ親たちが、連絡帳だのPTAだの、こんなにカオスな状況を抱えながら仕事をしているとは職場の上司や同僚は想像もつかないのではないか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら