日本人が世界でバカにされている説は本当か 「日本スゴい!」風潮を真に受けてはいけない

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そして、それを踏まえたうえで、最も注目すべきは東日本大震災について書かれた箇所だ。

日本に関する報道で国内外に大きな影響があったのは、やはり2011年の東日本大震災ではないでしょうか。日本で発生した自然災害の大きさは世界の度肝を抜いたのですが、なによりも驚かされたのは福島第一原子力発電所(福島第一原発)に関するさまざまなニュースでした。
復興が驚異的に早くて道路が数日間で直ってしまった、災害があったのに暴動にはならず秩序が保たれた――といった前向きなニュースもありました。しかし、それ以上に注目されたのは、原発で働く人々への冷徹な待遇とか事故を起こした関係者が処罰されないこと、被災者に対する支援が不十分なことでした。(62ページより)

こうしたことは現実的に、日本国内ではあまり積極的に報道されない部分だ。しかし、本来であればなによりも先に報道されるべきことでもある。ところが報道姿勢が変わらないこともあり、この時期に日本のイメージはとても悪い方向に進んでしまったということだ。

バブル崩壊までのわが国は、世界経済をリードして未来を象徴するようなキラキラと輝いた国だったのに、今や災害で悲惨な目に遭った人たちをないがしろにしているのです。(63ページより)

この指摘は、単に「耳が痛い」と感想を述べるだけで済ませられる問題ではないだろう。

日本人は世界でまったく注目されていない?

とはいえ、東日本大震災がもたらした大きな津波被害と原発事故が、予想外のトピックスとして世界を震撼させたのは事実だ。しかし、だからといって海外の人々が抱く日本のイメージが変わったわけでもない。

少なくとも、冒頭で触れたような「日本スゴイ!」系のテレビ番組で放送されるような、「海外で注目を浴びる国」では決してない。あくまでワン・オブ・ゼム(One of them)にすぎず、たくさんある国のなかのひとつにすぎないということだ。

まず心に留めておくべきは、このことではないかと感じる。持ち上げられてうれしいとか、注目を浴びていないなら悔しいとか、そういう次元の問題ではなく、それが「現実」であるということだ。だとすれば、それは直視する必要がある。

そしてもうひとつ無視できないのは、「教育レベル」の問題だという。

どこの国でも同じことがいえるのですが、外国のことをよく知っているのは教育レベルが高い人、海外と交流が多い人、さらには好奇心から海外に興味があるような人に限られてしまうことが少なくありません。(62ページより)
アメリカやヨーロッパの大都市であっても、外国に興味がない人の場合は日本と中国の違いさえわからない。大学を出ているような高学歴の人であっても、日本と北朝鮮は陸つづきになっていると信じている人だっています。
そんな一般的なレベルの人たちは日本のコンビニエンスストアがいかに便利で日常生活に密着しているかということには興味がないし、ましてや憲法第九条の何たるかなんてまるで関心がない。アメリカ軍が日本の各地に駐留していることさえ知らない人が多くを占めます。そしてまた、かなりの日本人が西洋式の家に住んでいることもわかっていない外国人だって大勢いるのです。(62ページより)

大げさだと感じるだろうか? しかし、「日本からすると、チェコスロバキアとウクライナがいったいどこにあるのかわからない人が多いのと同じようなもの」だと言われれば、納得せざるをえない部分はあるはずだ。

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