家計管理がうまい夫婦の関係が良好な理由 夫と妻、どちらが家計を握るべきか?

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ほかには、次のような方法もあります。住宅関連と保険、水道光熱費は夫、通信費と食費、日用品、子供関係は妻といったように、費目で負担を分けるケースです。このケースも、共働き夫婦の家庭でよく見受けられます。それぞれ割り振られた費目に関して責任をもって対応すれば、残りは自由に使えるというタイプです。

メリットは、共有口座の場合と同じく「自分の収入に口を出されたくない」人に適している点です。デメリットは、担当費目の支出の増減が起きたときや、収入のバランスが崩れたときに不公平感が生まれやすい点です。

この方法はどちらかが家計の管理をするわけではなく、お互いの裁量で管理されるので、しっかりとした計画がないと「生活には困らないけど、貯金はない」という状態に陥ることです。それぞれが自立しているのはいいことですが、そのせいでかえって、「恋人が同棲している」ような状態になり、子供にまとまったお金がかかるころになって、急にトラブルが発生することになります。費用負担を決めるのと同時に、貯金についても話し合い、定期的に状況を報告し合うなどして、「家族として」の貯金が用意できる状態にしておきましょう。

ライフステージに合わせて管理方法も変えていく

いずれのタイプの家計管理をしていても、うまくいかないというケースの8割は、夫婦のコミュニケーション不足が原因です。以前、相談を受けたケースでは、夫が「自分の給料はすべて俺の金」というスタンスを崩さず、困っているというものでした。いろいろな手を講じてお互いにとって最もいい形を目指しましたが、話し合いをする度に「今さら変えられない」の一点張り。おおよそ1年間の相談期間で、話がどんどん「離婚」の方向に向かっていったのです。妻も経済的には自立できる程度の収入があり、育児休業中も日々の暮らしにも困っていなかったので、コミュニケーションをとらなくても問題ありませんでした。しかし、徐々に不信感を募らせていってしまったようです。

結局のところ、重要なのは、どちらかが主導権を握ることではありません。そして、どちらかに責任を押し付けず、独裁者にならないこと。あと何十年も一緒に暮らす家族と話し合いができないなんて、どう考えてもデメリットしかありません。

一度決めた家計管理の方法は一生続けられるものでもありません。ライフステージや暮らし方の変化とともに変えていくものです。結婚したときや子供が生まれたタイミングは、「家族のお金」を意識する起点となります。そこでコミュニケーションを怠ったがために、「一緒にいる意味がわからない」「仲が悪いが、お金もないので離婚できない」という残念な夫婦にならないためにも、コミュニケーションを厭わず、お互いにとって心地のいい家計管理の形を作り上げていただきたいと思います。

塚越 菜々子 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

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つかごし ななこ / Nanako Tsukagoshi

税理士事務所に10年間勤務。これまで延べ500件以上の確定申告のサポートと、独立後は年間およそ200件の家計の診断・アドバイスを行う。主に30代の共働きの女性を中心に、子育て世帯でも無理のないライフプラン設計や家計管理法を伝えながら「お金に支配されない生き方」を提案している。女性起業の税務や経理に関するセミナーや、NISAや確定拠出年金を利用した「普通のママ」ができる資産運用セミナー等を年間40回以上開催。「確定拠出年金相談ねっと」認定FP。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動している。公式サイト

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