フェンシング2.0に挑む会長・太田雄貴の奮闘 スポーツ界をいかにしてアップデートするか

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太田が取り組んだ新施策の中で、中核になったのは「全種目の決勝戦を最終日に集約して行う」ことだった。

最もコンテンツ価値の高い決勝戦を1日に集約したことで、決勝戦の集客効果は一気に高まったのだ。

集客成功のウラ側にあった努力の成果と見えた課題

この成功のウラには、地道な努力もあった。

「去年は、とにかく集客。まずは、来てもらえないことには何も始まらないですからね。手売りですよ。僕の信頼する20人に“飯を食おう”って言って集まってもらい、全員に10~20枚のチケットを渡して、“これを売ってきて”って」

全日本選手権での集客の舞台裏を語った太田雄貴氏(撮影:今井康一)

あまりにも古典的で手間のかかる手法だが、王道とも言える「手売り」を使って集客を図ることにした太田は、20人のフェンシング出身者や関係者に、オピニオンリーダー(マーケティング用語で、消費者の行動に大きな影響力を持つ人物のこと)としての役割を託した。

その結果、太田から依頼を受けた人たちは、自らが起点となり、仲間たちとコミュニティを作って全日本選手権に来場してくれた。ハブとなったフェンシング関係者は、仲間たちに対して、フェンシングの解説をして楽しませ、責任者である太田は来場者たちとの写真撮影やサインに応じ、来場者の満足度を高めることに精を出した。

こうした地道な活動は、大会終了後のアンケート結果に表れた。“ルールはわからないけれど、面白かった”という意見が7〜8割を占めたのだ。伸びしろがあることはわかった。あとは、それをどこまで伸ばしていけるかという次の課題をみつけ出すことに成功した。

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